食材が育った自然の景色を連想
「ユカワタン」ではトリュフやキャビア、フォアグラなどは敢えて用いず、使用する食材を絞り込むことによって、より深く食材を生かすことを追求しているとのこと。たとえば海のない信州で海の魚を使うことはないと、魚は川魚のみを使用しているそうです。
たとえば、訪れた晩夏のスープの主素材は佐久鯉で、魚料理は鰻。ラビオリを浮かべたスープはトリのダシに鯉の旨味をうつしたもので、まるでスッポンの丸鍋のような芳醇さでした。ふっくらと炭火で焼かれた鰻は、トウモロコシや枝豆、木の芽をのせ、下にクスクスのサラダを敷いたもの。クスクスは蒲焼きのタレを思わせる味付けで、鰻重を思い出します。トウモロコシの皮など素材の質感を生かした美しい盛りつけを目にすると、食材が育った自然の景色が連想され、またここでもハッとします。
美味しいだけでなく、料理を通じて信州の動植物を育む自然も感じられるのが「ユカワタン」の魅力。都会の人ほど自然に感化され、癒され、キレイになれるレストランではないかと思えます。
ユカワタン
所在地 長野県北佐久郡軽井沢町星野
電話番号 0267-46-6200(ホテルブレストンコート代表)
営業時間 17:30~(事前予約制)
URL http://yukawatan.blestoncourt.com
メニュー コースメニュー 15,000円、18,000円(税・サービス料別) ※食材の仕入れによってメニューは随時変更となる。
小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。
Column
小松めぐみの“キレイになれる”レストラン
食べてキレイになれる一皿、見て美意識が刺激される一皿や、そこに行くためにはキレイにしなきゃと思えるレストラン。キレイのモチベーションを高めるお店や料理を、フードライター歴13年の著者がご紹介。
2014.09.26(金)
文=小松めぐみ