南野陽子・相楽ハル子・吉沢秋絵が最高だったⅡ

 二代目・麻宮サキは南野陽子さんだ。「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」は、1985年11月7日放送開始。立ち姿が非常に原作のサキに近く、予告を観たとき「オオッ、これは素晴らしい!」と興奮した。

 ただ、副題の「少女鉄仮面伝説」とは一体……? 主人公が鉄仮面を被って十数年過ごすという無理があるにもほどがあるエピソード、いる? 演じる側も困惑したのでは……。ところが南野陽子さんは「展開には何の疑いも持たなかった」という。やはり大器は違う。カッコイイ!

 そして彼女の熱演により、今作は想定外の感動作となった。私も、今でも忘れない。重そうな鉄仮面を被ったままセーラー服姿で暴れるアクションシーンの異様な迫力。鉄仮面が割れ、中から出てくるナンノ様の驚くほど美しいお顔と、

「頬に風があたっちょる……」

 という名ゼリフの爽快感!!

 しかも今作では、ビー玉のお京(相楽ハル子)と雪乃さん(吉沢秋絵)という仲間が登場。制作陣は「水戸黄門」の助さん・格さんをイメージしたといい、このアイデアがズバリはまった。おニャン子クラブ全盛期とはいえ、とびぬけてのんびり穏やかタイプの吉沢秋絵さんが抜擢されたのは、「なぜ? の嵐」であったが、いつの間にか彼女の「~ですわ」というお嬢様口調と、袱紗(ふくさ)攻撃がクセになり、彼女の活躍を待ち望む私がいた。

 原作の和田先生は「サキ本来の生き様や、敵と戦って友や仲間を得ていく部分など、このシリーズが原作のイメージに一番近い」とお気に入りだったそうだ。

 ナンノが歌う主題歌「さよならのめまい」「悲しみモニュメント」「風のマドリガル」、そして映画版の主題歌「楽園のDoor」は名曲。

2025.09.24(水)
文=田中 稲