斉藤由貴と高橋ひとみの気迫が素晴らしかった第1作

1985年4月11日、ついに「スケバン刑事」が実写化。記念すべき初代・麻宮サキは、斉藤由貴さんに決まった。魅力的な方ではあるが、とはいえ、とはいえ! 「制服の胸のボタンほゥ……♪」と語尾と視線を空中に浮かせ歌っていた彼女と、敵をバッタバッタと殺していくサキとの共通点が見えなかった。原作ファンとしては不安&不満である。しかし、さすが斉藤由貴、早くも大女優の片鱗を見せてきた。決めゼリフの
「スケバンーッ刑事!」
という歌舞伎っぽい言い回しはともかく、目力と気迫で、サキに寄せてきた。特に「孤独」というファクターはしっかり押さえていた。主題歌「白い炎」も名曲!!

脚本に、原作リスペクトを最も感じたのもこの第1作。神恭一郎役の中康次さん、沼重三役の平泉成さん、暗闇指令役の長門裕之さんも、マンガに寄せていた。
なによりサキの宿敵となる海槌麗巳を演じた高橋ひとみさんが、マンガから飛び出してきたレベル! 寺山修司も惚れこんだという前衛的な妖気を出し、彼女の登場から、一気にドラマは良い意味で重さを増した。
「白い炎」の歌詞にもあるが、全体的に“墨絵”のような美しさを持っていた第1作。船の爆破シーンも素晴らしかったので、一度でいい、総集編をスクリーンで公開してほしい。
2025.09.24(水)
文=田中 稲