金物問屋が一念発起して挑んだ長期保存食
「IZAMESHI」を展開する杉田エース株式会社は、建築金物の問屋大手。つまり、集合住宅用ポストや物干し金物、換気口などを扱うのが本業です。「そんな会社が保存食なんて全くの門外漢では?」との連想ゲームはごもっとも。しかし、いわくは大アリだったのです。
杉田エースでは、災害時のブルーシートや土嚢などを手配・提供してきた経験があります。とりわけ「IZAMESHI」誕生への直接のきっかけとなったのが2011年3月11日の東日本大震災。この時にもブルーシートをはじめとする物資の手配を行った杉田エースでしたが、同時に「もっとも重要な食の面でも何かできるのではないか」との気づきを得たといいます。つまりこれが「イザ」という時の「メシ」を手掛けるきっかけとなったのです。

構想から販売まで約3年の準備期間を経て「IZAMESHI」は2014年に発売を開始しました。デビューラインアップはひじき、わかめ、小松菜などのニッポンの主食たる「ごはん」や、おかず、パン、お菓子、水など全23種から。
お米は保存食用米の定番であるアルファ化米。アルファ化米は独特の歯ごたえがありこれが若干好き嫌いを分ける要因でしたが、「IZAMESHI」では炊き立てをしっかり乾燥させるなどの工夫により、「保存食だけどお米の芯から旨味が感じられるごはん!」と好評を得ることになりました。
2025.09.01(月)
文=前田賢紀
写真=佐藤 亘