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 毎年9月1日は「防災の日」です。防災用品の準備が済んでいるなら、次の段階として災害が起こった時のイメージトレーニングをしてみませんか? というのも、よかれと思いおこなったことが、実は生死をわける可能性も……。

 元レスキュー隊員で『大地震・津波・集中豪雨が起こったそのときに NG行動がわかる防災事典』(KADOKAWA)の著者であるタイチョーさんによると、「災害が起きた時、命を左右するのは判断力」なのだそう。本書より、地震後の危険な家の“兆候”と、NG行動3つを抜粋してご紹介します。


天井・床・壁をチェックし、在宅避難の可否を判断しよう

 大規模災害では避難所の数が不足し、環境もよくありません。そのため国は、自宅の安全性に問題がない人に対して在宅避難を推奨しています。マンションは一般的に在宅避難が可能ですが、戸建て住宅では旧耐震基準の家に加えて、モルタル仕上げの木造住宅はひび割れを起こしやすく注意が必要です。

 在宅避難の可否を見極めるには、天井・壁・床の3カ所をチェックし、1カ所でも問題があれば在宅避難はやめましょう。

チェックリスト

天井
□ 亀裂が入っていないか
□ たわみが出ていないか


□ 亀裂が入っていないか
□ 小石が落ちていないか


□ 浸水していないか
□ 水漏れがないか

こんな家は危険

●玄関やベランダが整理されていない

 玄関やマンションのベランダは避難路であり、救助隊の進入口でもあります。災害に備えて玄関やベランダには極力物を置かないようにしましょう。

●窓ガラスがガタついている

 地震や強い突風が来たときには割れる可能性が大きく、危険です。賃貸物件の場合は大家さんに対応してもらいましょう。

NG行動(1)

玄関に物をたくさん置く

 傘立てやシューズラック、自転車などたくさんの物が置かれた玄関では、地震で倒れて積み重なった場合、避難の妨げになるばかりか、ドアが開けられなくなる危険もあります。救助隊も、特に夜間では自身の安全確保に時間を要するため、散乱した現場では救助活動が遅れ、救命率の低下を招きます。玄関は日頃から整理・整頓を心がけましょう。

NG行動(2)

マンションのベランダに物を置く

 ベランダなどマンションの共用部は避難路とされ、私物を置くことは消防法などにより禁止されています。隣戸とのパーテーション付近に置かれた物は避難の妨げとなり、近隣の居住者も危険に陥れることになります。共用部には物を置かないようにしましょう。

2025.09.01(月)
文=タイチョー