コロナ禍をきっかけに暮らし方が変わり、将来のことを改めて考えた人も多いのでは? わたなべぽんさんのコミックエッセイ最新刊『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』では、わたなべさんが改めて考えた、防災やお金、健康など、人生後半を楽しく生きていくための“備え”について綴られています。
将来に備えて、ちょっとずつ、無理なく準備できること。わたなべさんにお話を伺いながら、一緒に考えました。
結婚記念日に防災袋の中身をチェック
──『やっとこっかな』は、きっと誰しも自分の経験が重なる部分がある1冊だと思います。コロナ禍を経て、価値観や生活スタイルにいろいろな変化があったと思いますが、わたなべさんにとって一番大きかった変化を挙げるとすると?
やはりこれからの暮らしを、地に足をつけて改めて考えるようになったことですね。コロナ禍の前はなんだかんだ言いながら、未来は今と地続きにあるものというか、「どうにかなるだろう」とほったらかしにしていた部分があったと思うんです。「ある日突然不自由になることもある」と身をもって知って、「今後のことをしっかり考えよう」という思考になれたことは大きかったです。
──発売されてから、読者の方からはどんな反響がありましたか?
一番反響が大きかったのは、非常袋と防災袋の違いについて描いた章ですね。「初めて知りました!」という声をたくさんいただきました。
──災害時に持って逃げる非常袋と、避難先での生活用品を入れる防災袋。私も2つの違いを知らなかったので、とても勉強になりました。中身の入れ替えを定期的に行うことも大事だと思うのですが、忘れてしまいがちですよね。
我が家では年に1回、結婚記念日の日にメンテナンスするようにしています。夫婦に関係することをチェックするには、ぴったりの日かな、と。食料や水の賞味期限はもちろん確かめますし、見落としがちなのが連絡先。非常時にはスマホが使えない可能性もあるので、紙に書いて入れているんですが、先日も夫の姉夫婦が引っ越しをしたんですね。そんなふうに意外と頻繁に変化があるので、定期的にチェックするようにしています。
──貯金や資産について考える章では、NISAなども調べつつ、テンションが上がる貯蓄法として宝くじ付き定期預金を選択されていましたね。
資産運用をマメにやっている人に話すと「本気でやってるの?」と笑われるんですけどね(笑)。年に2、3回、宝くじの番号が書かれたハガキが届くと、部屋の見えるところに貼っておくんです。「あと○日だね」と当選番号の発表日までカウントダウンして、当日は夫と2人でワクワクしながらチェックして。我が家のささやかな行事になっています。
──「将来動けなくなったときのため」「老後のため」という理由ではなく、「楽しさを優先した貯蓄法」を選ぶというのは目から鱗でした。
しっかり運用したいときが来たら、もちろん資産を動かすのもありだと思うんですけどね。とりあえずお試し気分というか、楽しみが1つ増えたのでいいなと今は思っています。
2024.06.21(金)
文=岸野恵加