エモーショナル! 「碧暦」

 中島健人さんには今も、元気・勇気をもらっている。本人から直接「俺が幸せにしてやるよ、プリンセス」と言われたわけではないが、どの番組や動画を観ても、マジで言ってくれそうなキャラクターとポジティブオーラがガンガン。地球を救う新たなエネルギー源として、彼が注目される日が本気で来る気がする。太陽光発電ならぬ、中島健人発電!

 完璧に見えるのに、どこか数ピース欠けた不器用さ、弱さを見せてくるのもいい。2024年1月8日のグループ卒業発表直後からの400日間に密着した、「#WIP ~THE FIRST STAR~」でも、SNSの批判やソロでの活動に結果がついてこないことに焦り、参っている姿がビシバシ映されている。休日なしで目のクマガッツリになりながら遊戯王イベで叫んでいるシーンなんざ、狂気すら感じる。

 しかしそんな疲労も負の感情も受け入れ、ファンに感謝を伝え、努力と行動を続けるのである。一人になった孤独を青い空に溶かし「でも最後はきっと笑顔じゃない?」と明日のエネルギーにしていく。彼のファーストシングルで、「HOKUSAI:ANOTHER STORY in TOKYO」とのコラボレーションソングにもなっていた「碧暦」は 、そんな心情が清々しいほど響いてくる名曲だ。

どの瞬間もチャンスタイム

 「上を目指したい」という野心をまったく隠さないのも中島健人の比類なき魅力。彼にかかれば、野心の擬音も「ギラギラ」ではなく「キラキラ」なのである。

 海外進出を目指し独学で英語を習得。MCをつとめるWOWOW「中島健人の今、映画について知りたいコト。」でクリストファー・ノーラン監督へのインタビューが叶った際、番組内で「演技を見てくれ」と申し出た回は伝説になっている。見習いたい、このガッツ!

 ケンティーにかかれば、どんな瞬間もチャンスタイムと化する。実際、そういったあちこちのアピールが功を奏し、「コンコルディア/Concordia」という海外ドラマのキーパーソン役をゲット。もちろん、いくら英語がうまいとはいえ、ハードな撮影になったことは想像に難くない。

 撮影地のローマではカルボナーラがおいしくて食べまくったそうだが、お太りになっていない。摂取したカロリーの倍、気力・体力を消耗した現場だったことがわかる。しかしそれもまた、彼にとってはドリームカムトゥルーのプロセス。どんとこいなのだ。

 ケンティーに触発されて英語の勉強を始めたファンの方も多いという。推しと一緒にスキルアップ、世界がバーンと広がる……。最高じゃないか!

2025.08.20(水)
文=田中 稲