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『東京リベンジャーズ』『キングダム』など多様な作品で活躍する山田裕貴さんが、絶賛公開中の映画『木の上の軍隊』で堤真一さんとW主演。
太平洋戦争末期の沖縄・伊江島で、終戦を知らぬまま木の上に潜み続けた2人の兵士の実話をもとにした物語だ。初共演となる堤さんとの2人芝居や、極限状態を生きる兵士の姿にどう挑んだのか。表現者として“本物とは何か”を問い続ける、その真摯な思いについて聞いた。

――『木の上の軍隊』は2人の兵士が実際に経験した事実がもとになっています。この実話についてどのように思われますか。
僕は伊江島という島すら知らなかったですし、2年間も木の上に潜んでいた方々がいたことも知らなかったので、シンプルにこんなことがあったんだなと思いました。
堤さんとの共演と聞いて……
――潜伏し身を隠していなければ殺されるかもしれないという恐怖。目の前で仲間や友人を残酷に殺害された時の映像や音が脳に焼きつき、2年間ずっと2人の精神が戦時下のままだったことは、映画を観ると伝わってきます。山田さんは沖縄出身の若い兵士の役をオファーされた時どのように感じましたか?
いつかこういう作品に携わりたいと思っていたところに、堤さんとの共演と聞いて、即答で「やりたいです」と答えました。

――初めての堤さんとの共演も決め手のひとつだったのですね。映画では途中からほぼ2人芝居になり、上官と部下という関係から、次第に父と息子のような雰囲気になっていきます。共演はいかがでしたか。
堤さんとお芝居のことはそんなにお話ししていないんです。段取りを確認してすぐ本番、というシーンも多くて。長いシーンでもその場のライブ感を大切にして撮影を進めていたので、それを堤さんと一緒にやれるのが、すごく楽しかったですね。
戦争については「語られていないことばかり」
――撮影現場で平一紘監督と話し合うことはあったのでしょうか。
撮影する前の段階で監督と脚本についてお話しして、ここの描写はもっとこうした方がいいんじゃないですかとか、そういう話し合いはありました。あとは監督が取材された、沖縄の戦争を体験した人や、本土で戦争を体験した人たちの話などを聞いたり、資料をいただいたりしました。
――そうしたお話の中で心に残ったことはありましたか?
生贄に出されたとか1人ずつ連れていかれたとか、そういう悲惨な話ですから、しっかりと重く受け止めました。そういうことは語られないことが多いんだなと感じました。
――山田さんは劇中で沖縄の言葉(ウチナーグチ)を使っていらっしゃいますね。
沖縄の言葉は事前に音源をいただいていて、共演で沖縄出身の津波(竜斗)くんや現場の沖縄のスタッフさんたちにも教えてもらいました。
2025.08.02(土)
文=あつた美希
写真=松本輝一
ヘアメイク=小林純子
スタイリスト=森田晃嘉