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生きているだけでどれだけ幸せかを感じてほしい
――ご自身の“本物”を探していくうえで、どんな時に「これは本当の自分だ」と実感するのでしょうか。
家にいる時は、何も考えず笑っていたり、そういう時間が多いですね。昔は無理に頑張ろうとして元気そうに見せたり、ふざけてみたりしていたので、今そのつけが回ってきてる感じがしています。本当の自分が全然伝わっていないことに気付くというか。
――こうした取材の時も、ご自身の思いや考えが意図の通りに届かないことへのもどかしさがあるのでしょうか。
こういう漠然とした話も、本当に思っていることだから。なんとかそれを言葉にしようとすると、結果、誰かに合わせた言い方になるので、わからないならわからないままでいいやという感覚にもなります。嫌だったら嫌です、と正直に伝えて、我慢しない生き方をしていかないと、と思っています。
――それが“正直であること”を選ぼうとしている山田さんの今の心境なのですね。最後に、終戦80年の今、新しい戦前と言われる時代に、この映画を届けることについてどういう風に考えていらっしゃるか、メッセージをお願いします。
戦争を知ってほしいというより、生きようとすることがどれだけ大切か、生きているだけでどれだけ幸せか、ということを感じてもらいたいです。
》【後篇】「歌詞が、僕が思っていることそのままなんです」山田裕貴が明かした“27年間、聴き続けている一曲”とは
山田裕貴(やまだ・ゆうき)
1990年生まれ。愛知県出身。2011年に「海賊戦隊ゴーカイジャー」で俳優デビュー。以降、映画『あゝ、荒野 前篇・後篇』(17)、『あの頃、君を追いかけた』(18)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(21・23)、『燃えよ剣』(21)、『余命10年』(22)、『キングダム 大将軍の帰還』(24)などに出演。2022年にエランドール賞新人賞、2024年には『ゴジラ-1.0』『キングダム 運命の炎』『BLUE GIANT』などの演技が評価され、第47回日本アカデミー賞話題賞(俳優部門)を受賞。Netflix映画『Ultraman: Rising』や『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』では、日本語吹替版キャストを務める。2025年は『ベートーヴェン捏造』(9月公開)、『爆弾』(10月公開)が控えている。
『木の上の軍隊』
新宿ピカデリーほか全国公開中
監督・脚本:平一紘
出演:堤真一 山田裕貴 津波竜斗 玉代㔟圭司 尚玄 岸本尚泰 城間やよい 川田広樹(ガレッジセール)/山西惇
原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案 井上ひさし)
主題歌:Anly「ニヌファブシ」
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2025「木の上の軍隊」製作委員会
https://happinet-phantom.com/kinouenoguntai/

2025.08.02(土)
文=あつた美希
写真=松本輝一
ヘアメイク=小林純子
スタイリスト=森田晃嘉