「みんなもっと自由でいいんだよ」

Q3 大型犬との2人(1人と1匹)暮らしを始めたら、今までの人生の中で最高の居心地で、私が共に暮らすべきは人間ではなかったのかもしれないと感じています。ただ、今が幸せすぎて、大型犬の寿命が平均10年と知って以来、犬に先立たれた後の「ロス」が恐ろしいです。(60代・女性)

浅野 私なんて、74歳から犬飼っちゃったからね。武蔵小山の商店街で運命の出会いを果たして、後先考えずに買っちゃった(笑)。人間、5年後に亡くなるかもしれないし、100歳まで生きるかもしれないんだから、考えても無駄。人の考えることって、80%は取り越し苦労だから。大型犬というのは、散歩量がすごいし、60代ぐらいだったら、これからの脚力をキープするためにも、相棒としてちょうどいいんじゃない?

近田 僕は、小学校の頃にアイリッシュセッターの交じった雑種を飼ったことがある。でも、その子が大きくなったら、小学生の体力では散歩できなくなっちゃって、ちゃんと面倒が見られないまま、ジステンパーにかかって亡くなっちゃった。その子に操を立てるため、僕はそれ以降犬を飼っていません。その代わり、その分の愛は、大勢の女性に捧げてきたわけだけど(笑)。

Q4 30代からでも気楽に付き合える友達を作るには、どうすればいいのでしょう。学生時代の友人とは今もよく連絡を取りますが、ライフステージの違いもあり、頻繁に会うことは減りました。新しい交友関係を広げようと思いつつも、大人になってからの「友達作り」が難しいと感じています。(30代・女性)

浅野 この人は、電話とかで連絡する前に、どこか構えちゃってるんじゃないかなあ。相手にとって、ひょっとして迷惑になるんじゃないかって。勝手な想像を根拠に躊躇するのって、すごく損なことだと思うのね。人との出会いは、すべて縁だから、何もそこからそんなに深くならなくてもいいって考え方で始めると、逆にいい友達になれるかも。

近田 そう。そして、意見が合わなかったり、喧嘩してしまったりすることを恐れない方がいいと思う。最初から自分というものを素直に出せば、相手と合う場合は付き合いが続いていくし、合わない場合は離れていくんだから、その自然な流れを信じるのがいいと思う。しかし、順子さんってさ、幅広い年代に友達がいるよね。

浅野 うっかり利害関係や上下関係が生じると、面倒くさいことになっちゃうけど、私、できるだけそういう関係を作らないようにしてる。年齢にかかわらず同じように付き合うよう、心がけてますね。

 その他、このトークイベントのまさに翌日に起こると囁かれていた大災害の噂への対応、ネイリストとの会話のテーマ、物にあふれた生活をどうすべきかなど、さまざまな相談に対し、二人から真摯な回答が返された。

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浅野順子(あさの・じゅんこ)

1950年横浜市出身。ゴーゴーガール、モデルなどを経て結婚し、ミュージシャンのKUJUN、俳優の浅野忠信の2児を儲ける。ブティックやバーの経営に携わった後、独学で絵画を描き始め、2013年、63歳にして初の個展を開催。その後、画家として創作を続ける。ファッションアイコンとしても注目を浴び、現在は、さまざまなブランドのモデルとしても再び活動を繰り広げている。

近田春夫(ちかだ・はるお)

1951年東京都出身。慶應義塾大学文学部中退。75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、ロック、ヒップホップ、トランスなど、最先端のジャンルで創作を続ける。文筆家としては、「週刊文春」誌上でJポップ時評「考えるヒット」を24年にわたって連載した。著書に、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(リトルモア)、『グループサウンズ』(文春新書)などがある。最新刊は、宮台真司との共著『聖と俗 対話による宮台真司クロニクル』(KKベストセラーズ)。

2025.07.30(水)
文=下井草 秀
写真=平松市聖