仲間との別れに、初めて涙した『桐島』の現場

――その後、俳優という仕事を意識するようになった作品を教えてください。

 昔から大人の中でこういう仕事をしていたので、突然意識が芽生えるというのはなかったんですが、強いて言えば、2004年にメインキャストの一人をやらせていただいたドラマ「4TEEN」ですね。初めて自分で考えて演技をした作品ですし、現場が本当に楽しくて、今でもつるんでいる仲間だったり、廣木隆一監督との出会いも大きくて、初めてこの仕事の魅力を知った作品といえるかもしれません。ただ、こうした取材で「4TEEN」や『下弦の月 ラスト・クォーター』『青いうた のど自慢 青春編』など、あの時期に出演した作品の話をされると、嬉しい反面、恥ずかしい。自分ではまだ観返せないですね。

――その後も、主演や助演など、さまざまな作品に出演されますが、壁にぶつかった作品はあるのでしょうか?

 井筒(和幸)監督の『ヒーローショー』ですね。高校卒業の節目に「ごくせん」に出た後だったんですけど、井筒監督にコテンパンにやられたんですよね。「ボケ!」「今まで何やってきてんねん!」と毎日のように怒られたんですが、あれがなければ、今、僕はここにいないと思うんです。確かに、悔しい気持ちからやり遂げられたし、『ヒーローショー』のおかげで次の『GANTZ』の現場をとにかく新鮮に感じられた、というか、そのギャップみたいなもので、また頑張れたんです。

――2012年には竜汰役で『桐島、部活やめるってよ』にも出演されましたが、撮影の際の思い出を教えてください。

 長期の地方ロケだったので、修学旅行に来ている感じも強かったですが、一生懸命やっていましたね。共演した東出(昌大)くんと話すと、彼は初めての映画で不安だったようですが、「僕も毎回毎回不安なんだぜ」という気持ちでした(笑)。でも、撮り終わった後に、この作品がどう評価されようと、この仲間に出会えたことの方が大きいと思ったんです。じつは、出演者のみんなと別れるときに初めて涙した現場だったんですよ。まるで「田舎に泊まろう!」のような気分。それだけ自分自身が楽しめた映画が、作品としても高く評価されたのは本当に有り難いことです。

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2014.05.09(金)
文=くれい響
撮影=深野未季