タンシチューのデザートは、ラーメン!

見た目は非常にシンプル。でも、手間暇かかって、完成度の高い一杯。

 しかし、思っていたよりもはるかにたっぷりのタンシチューを食べてしまった私。加齢に伴い、ラーメンを食べられるかどうか不安である。しかし、厨房ではもうすっかりラーメンの用意を進めておられるようで、いまさら引き返すことはできない。

 そして、ラーメンどーん! まずは、その丼に感動。真っ白で丸みを帯びた美しい丼にゴールドのライン、そして丼のフチには同じくゴールド縦書きで「菊水」の文字。昔は定番メニューだったそうで、この丼が毎日活躍していたのだそうだ。ラーメン屋さんじゃなくて洋食屋さんのラーメンだという姿勢が伝わってきて、とても素敵。

 さらに、スープが美しい。醤油味のシンプルなものだが、ほかの料理にも使う洋食のブイヨンを惜しげもなく使っているそうで、澄んだスープは牛をベースに、ラーメン用に少しとんこつを加えたりもしているという。味付けは控えめで、スープだけでグビグビ飲めそう。

 驚いたのが麺である。「どこで仕入れているのかな~」なんて思ってごめんなさい! 明らかに手打ちなのだ。太めの角麺なのだが、随所に讃岐うどんのようなひねりがあり、もちもちとしたパスタに近いような麺だった。さらに、スープとバランスを取るかのようにしっかり味を入れた煮豚。これがまたホロホロとしてとっても美味しく、麺・スープ・肉をひと口で食べると最高。メンマもなるともねぎもちゃんとのっているけれど、食べればしっかりと「洋食屋さんのラーメン」として完結している。

 タンシチューはどういうタイミングで仕込んでいるのか聞き忘れてしまったが、ラーメンは4月半ばまでの限定復活だったようで、この連載に間に合わずどうしようかと思ったけれど、恋に落ちた美味しいものとしてご紹介してしまいました(秋にはまた始めるみたいですよ!)。ラーメンが提供される時期に軽井沢へ行かれる方には、ぜひトライしてみてほしい一杯。あ、でも、チキンカツとチキンカレー(要予約)も非常に美味しいので食べてみてほしいです。

菊水
所在地 長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢旧軽井沢584
電話番号 0267-42-2626

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2014.04.30(水)
文・撮影=北條芽以