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葬儀には“好きな格好で来てね”

 リサの葬儀は、ストックホルム郊外にひっそりと佇む、アスプルンドが設計したスコーグスシュルコゴーデン(森の墓地)の礼拝堂で行われた。ひとりの女性牧師がリサの経歴を紹介しながらセレモニーを進行していくなか、一般の参列者も多く駆け付けた。

「葬儀の際は、リサのご家族の計らいで私たちも親族席に座らせていただき、家族の一員としてリサを送り出すことができました。葬儀には一般の参列者もたくさんいらしていて、リサがスウェーデンの国民的な陶芸家だったことは認識していましたが、改めて偉大さを実感しました」(勝木さん)

 同時に、スウェーデンの葬儀は、日本とスタイルがまったく違うことも驚きだったそう。

「娘のヨハンナから葬儀の連絡をもらったとき、“私は青いドレスで行くから、美香たちも好きな格好で来てね”と言われて、喪服や黒い服である必要がないことにまず驚きました。半信半疑で葬儀当日を迎えると、ヨハンナの言葉通り、みなさん思い思いの格好をしていて、なかには普段着の方もいて。セレモニーの途中には、リサの長男の娘さんがボーイフレンドと一緒にギターを演奏する自由さで、喪に服するというより、笑顔で送り出そうという雰囲気も素敵でした」(佐々木さん)

2024.12.14(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ目2枚目)
提供写真=トンカチ