この記事の連載

 1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。

 「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。

CREA 2024年夏号

猫のいる毎日は。

定価980円


 猫好きならずとも、その名を聞けば誰もがわかる、あの「猫」。

 そこに込められた思いを知ればもっと好きになる、有名な猫キャラクターの誕生秘話に迫ります。

» 60年の時を経て、“原案”発見!クロネコヤマトの有名すぎる猫ロゴは広報担当の娘が描いた絵から生まれた


◆リサ・ラーソンの「猫」

 おしゃれでスタイリッシュな赤白のしましま猫・マイキー。強くてやさしい性格で、いろんな模様に変身できるのが特技。

お話を伺ったのは

トンカチ代表
勝木悠香理さん

日本でいちばん有名な北欧デザインの猫

 マイキーの生みの親として知られるスウェーデンの陶芸家リサ・ラーソン。2024年3月11日に惜しまれつつ92歳の生涯を閉じたが、亡くなる直前まで好奇心を持って創作活動を続け、作品を通じて多くの人々に喜びと感動を与えてくれた。リサの日本での人気を確固たるものにしたマイキーについて、誕生から現在までを知る「トンカチ」代表の勝木悠香理さんに話を伺った。

「今から16年前、トンカチでリサの絵本を出すことが決まった時、彼女が描いたスケッチの中に、のちのマイキーになる猫がいました。たくさんの動物がいる中でふてぶてしさが目を引き、絵本のデザインを担当していた佐々木が、“この子をスターにしよう”とひらめいたのがすべての始まりでした」

 そのことをリサに話すと賛成してくれて、2010年にマイキーを表紙にした絵本『BABY NUMBER BOOK』を出版。その後もしばらくは名なしだったが、ある日、マイキーの布をつくることになり、グラフィックデザイナーであるリサの娘・ヨハンナと一緒にスウェーデンのファブリック工場へ向かった勝木さんと佐々木さん。そこで名前の話が持ち上がり、ヨハンナの思いつきで「マイキー」と命名。マイキーは北欧デザインらしい洗練されたキャラクターで、大人の女性たちから支持されるようになった。

 しかし実は、絵本のイラストに登場する前に、リサから勝木さんにマイキーそっくりの猫が描かれた自作のカードが贈られている。

「パリ出張を控えていた時で、“頑張って”という言葉とともにマイキーによく似た猫のイラストが描かれていました。いま考えると、マイキーの原型はこの時すでにリサの頭のなかにあったのかもしれません」

2024.06.11(火)
文=田辺千菊(Choki!)
写真=平松市聖

CREA 2024年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

猫のいる毎日は。

CREA 2024年夏号

猫のいる毎日は。

定価950円

人生に大切なことを猫は全部知っています。過去や未来ではなく、いまを生きること。必要なときに食べ、好きなときに眠ること。人に気を使いすぎないこと――。そう、猫は最高! それにしても、私たちはなぜこんなにも、この不思議な生き物に魅了されてしまうのでしょうか。1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。