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 日本でも広く愛されたスウェーデンの陶芸家リサ・ラーソンが、2024年3月11日に92歳でこの世を去った。短期集中連載の最終回は、リサが亡くなる直前まで共にものづくりに取り組んでいた「トンカチ」の佐々木美香さんと勝木悠香理さんに、リサとの思い出や4月に行われた葬儀について振り返ってもらった。

【連載をはじめから読む】すべては一通の手紙から始まった——北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンが日本で愛された17年


リサとの17年間を振り返る原点回帰の旅

 「早いもので、リサが亡くなって半年以上経ちますが、正直まだ実感がないんです」。葬儀にも参列し、日本での追悼展を終えてもなおそう感じると話すのは、トンカチの佐々木美香さんと勝木悠香理さん。最後に見たリサはいつも通り元気で、亡くなる2か月前まで仕事のやりとりをしていたというから無理もない。

「リサが最後に手がけた作品は、毎年楽しみにしているファンも多い干支シリーズでした。この作品に取りかかったとき、リサは91歳で、体調に波はあったものの、仕上げてきたものは期待や想像を上回るさすがの出来でした。リサ自身も創作を続けていく意欲があったので、この世にいないことがまだどこか信じられずにいます」(佐々木さん)

 年齢を考えれば、いつなにが起きても不思議ではなかったが、90歳を超えても尽きることのないリサの想像力と創作意欲は、親しければこそ、“まだ大丈夫”と確信させられてしまうほどの輝きがあった。

「リサの訃報を聞いたときは、まさかと思って愕然としました。コロナがあって2019年を最後に渡航が叶わず、“今年こそ会いに行こう”と計画していた矢先の出来事で……。それで、私たちも葬儀に招いていただいたのですが、スウェーデンでは葬儀の構成や演出を1か月ほどかけてじっくり決めるのが習わしのようで、リサの葬儀も亡くなった1か月後の4月13日に執り行われました」(勝木さん)

2024.12.14(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ目2枚目)
提供写真=トンカチ