リサとの最後の日のこと
寝食を共にする日々を通じて、リサの素顔に触れ、チャーミングで温かい人柄に魅せられていった佐々木さん。深い絆でつながっているリサとグンナルの夫婦像にも胸を打たれた。
「ある日、リサが”散歩に行こう”というので、足の悪いグンナルを置いて、珍しくふたりででかけました。リサの案内で色々な場所を巡って小高い丘のふもとまで来ると、リサの友達の家があって、立ち寄ってなにかを伝えると、おじさんが大きなカマを持って出てきたんです。すると、草を刈って道をつくりながら、丘の上まで案内してくれました。頂上に立つと、リサは双眼鏡を取り出して、サマーハウスの方向を見ながら、”グンナル~!”と叫んで手を振っていて……本当にチャーミングでユーモアのある人でした」(佐々木さん)
このとき、リサが首に下げていたポーチには、佐々木さんと出会うきっかけになったトイカメラが入っていて、お互いのカメラで写真を撮り合ったのも忘れられない思い出に。これらの写真は、「リサ・ラーソン 日めくりカレンダー2024」に納められている。
コロナ前、佐々木さんと勝木さんが最後にスウェ-デンに渡航したのは2019年。その頃、グンナルは施設に入っていた。リサと一緒に会いに行くとグンナルはとても喜び、リサの若い頃のスナップや新婚旅行の写真を見せながら、思い出話に花を咲かせた。奇しくも、佐々木さんと勝木さんがふたりと会ったのはこれが生前最後となった。
「私たちは、リサとグンナルからたくさんのことを学びました。リサはアーティストとしてもすばらしい方でしたが、女性としての魅力や人間味も持ち合わせていて、改めてその偉大さを実感しています」(勝木さん)
≫【連載をはじめから読む】すべては一通の手紙から始まった——北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンが日本で愛された17年
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短期連載の最終回(第5回)は、リサの人生観と葬儀について。近日公開予定です。
リサ・ラーソンと日本人女性2人の17年間の物語
2024.12.07(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ目2枚目)
提供写真=トンカチ
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