夫婦の絆に触れ、夢の時間を過ごしたサマーハウスの思い出
「プライベートのリサは、”おもしろくてチャーミングなおばあちゃん”という印象でした。リサと会うときは小さなサプライズが必ずあって、あるときは、マイキーの手ぬぐいを頭に巻いて待っていたり、またあるときは、私たちが泊まるホテルの部屋にリサが摘んだ花とメッセージが届けられていて……。思い返せば、かしこまった挨拶をしたのは最初ぐらいで、いつもつかみでくすっと笑わせてくれて、心をほぐしてくれました」(勝木さん)
おしゃれが好きで、青が好きで、猫が好きだったリサ。よく耳にする口癖さえも、まわりの人を明るい気持ちにするものだった。
「リサはよく”ファンタスティス”という言葉を使っていました。スウェーデン語で”すごい”という意味なのですが、その言い方もとてもかわいらしくて、私たちも大好きな言葉になりました」(佐々木さん)
リサを語る上で欠かせないのが、画家である夫・グンナルの存在。1952年に学生結婚してから2020年に先立たれるまで共に生活し、公私ともに最高のパートナーであり続けた。ふたりが30代の頃には、スウェーデン南端のスコーネ地方にサマーハウスを持ち、毎年夏になると2か月近くそこでのんびりと過ごしていたリサとグンナル。佐々木さんと勝木さんも、リサと知り合って2年目の夏には招かれるまでに打ち解けた。
「サマーハウスにはグンナルが建てたリサのアトリエもあって、夫婦の思い出が詰まった場所という感じでした。当時リサの生活を知りたかった私は、サマーハウスで過ごす様子を写真に撮らせてほしいとお願いして、次の年に1週間寝泊まりさせてもらうことに。ふたりがお昼寝している間、私はリサのアトリエで過ごしたり、私の姿が見えないとリサが鈴を鳴らして呼びに来て……。すべてが夢のようでした」(佐々木さん)
2024.12.07(土)
文=田辺千菊(Choki!)
撮影=深野未季、平松市聖(3ページ目2枚目)
提供写真=トンカチ