楽しくて、楽しくて、しょうがなかった『ぼくのお日さま』の現場

――アイスホッケーからペアダンスを始める『ぼくのお日さま』タクヤ役は、オーディションで抜擢されたとのことですが、オーディションの思い出は?

 事前に、あるシーンの台本が渡される、ごく普通のオーディションでした。アイスホッケーのスティックを壁に当てながら帰宅するシーンをやったのですが、僕も4歳の頃から少しだけスケートを習っていたので、「合格するといいなぁ」と思っていました。

 監督さんやプロデューサーさんの顔を見れば、何となく結果も分かるのですが、この映画の奥山(大史)監督は顔色一つ変えない方だったので、まったく分かりませんでした。

 オーディションでは、あまり自分を出すのが得意ではないのですが、後になって奥山さんから「それがタクヤらしくて良かった」と言われました。

――久しぶりのスケートを含め、タクヤの役作りはいかがでしたか?

 相手役の中西(希亜良)さんは、ずっとフィギュアスケートをやられているので、中西さんについていくことで必死でしたし、奥山さんが求められているものも相当高かったので大変でした。

 あと、タクヤは吃音を持っている設定なのですが、僕は吃音について何も知らなかったので、動画を見たり、勉強したことで、いろいろイメージしながら演じるようにしました。

――23年の2月から3月にかけて、北海道や岩手県で長期ロケをされたそうですが、どのような現場でしたか?

 全部で1カ月ちょっとの撮影だったのですが、本当に楽しくて、楽しくて、しょうがない現場でした。まず、現場の雰囲気が穏やかなので、本当にありのまま、素のままでいられるんです。テイクを重ねることもありましたが、それでもやっぱり奥山さんと一緒に考えながら作っていくのが楽しかったんです。

 あと、夜の8時に撮影が終わると、毎日のように美味しいものを食べに行けたことも嬉しかったです。お寿司に、ジンギスカン、ラーメンも、なんでも美味しかったです。

2024.08.30(金)
文=くれい 響
写真=末永裕樹