長期滞在型の部屋は「ワーケーション」にも最適

 部屋に戻って、夕食までの間にしばしお仕事タイム。全ての部屋にダイニングテーブルが設置されており、PCを開いたり書類を広げるのにも助かります。

 インテリアや内装は、北海道東川町に工場を有する「TIME & STYLE(タイム アンド スタイル)」製。職人の手仕事による、温もりのある木目調に安らぎを覚えます。雑然とした自宅のデスクよりも、圧倒的に仕事がはかどる実感が……。

 ムワ ニセコは長期滞在のゲストも多く、各部屋にはランドリーと冷蔵庫、調理器具が設置されています。近隣の道の駅で地元の野菜を仕入れ、旬の味覚を楽しむ方も多いそう。リモートでの勤務が可能なら、ワーケーションに理想的な環境かもしれません。

名店「TACUBO」で北海道の旬をいただく幸せな時間

 夕食はロビー階の「HITO by TACUBO(ヒト バイ タクボ)」へ。代官山の本店は、ミシュランを7年連続で受賞した予約の取れないイタリアンとして知られていますが、ニセコの地でも体験できるなんて……。

 オーダーメイドコース(3日以上前に要予約)は、地元の野菜に余市のウニなど、北海道の素材をふんだんに取り入れています。メインの十勝産ハーブビーフは、同店の特長である「薪火」でグリル。肉汁とともに、スモーキーで奥行きのある味わいが口の中いっぱいに広がります。

 前菜からデザートに至るまで、1品1品がアートピースのよう。でも決して気取りすぎることなく、リラックスして過ごせるんですね。

 この夕食はもちろんのこと、個人的にうれしかったのが翌朝の「朝食」でした。

 和食、イタリアントラメッツィーノ、ビーガンという3種類の定食形式。さらに、新鮮なサラダとフルーツ、ホテルオリジナルブレッドのビュッフェがつくんです。

 このビュッフェが秀逸でした。本州よりひと足遅れで旬を迎えたさくらんぼは、大粒でジューシーな甘みが感動的。そして、リゾートオリジナルのバナナブレッドが絶品だったのです。

 もっちりとした米粉の生地の中に、果肉の甘みが凝縮されていて、グルテンフリーとは思えないほど。デザートまで(身体にいいものを)しっかりいいただいて、元気に1日がスタートできそうです。

2024.08.30(金)
文・写真=宇野ナミコ