CREAリニューアル新装刊、「秘密のパリ」特集にちなみ、本コラムでも“パリの空気を感じられる東京のレストラン”を4回連続でご紹介します。19世紀の美食家、ブリア・サヴァランが「ふだん何を食べているのか言ってごらんなさい、そしてあなたがどんな人だか言ってみせましょう」と『美味礼賛』に書いたように、食は人を表すもの。パリの人のキレイをつくる、パリの食にフォーカスをあててみます。スペシャル企画としておいしいプレゼントも! ぜひご応募ください。
産地直送の魚介と新鮮な野菜を用いたフレンチシーフードダイニング
ザ・リッツ・カールトン東京「アジュール フォーティーファイブ」
メニュー名:レディース ラグジュアリー ランチ
2020年のオリンピック開催が決定し、メディアでもその手の話題が多い昨今。そんなオリンピック招致のために当時の石原都知事が施した“浄化作戦”は、六本木をすっかりクリーンに変えました。2007年に国立新美術館と東京ミッドタウンができ、2008年から2009年にかけては大型クラブが激減。10年前の六本木交差点から見る東京タワーは夜遊びの感慨を深める景色でしたが、今や「ザ・リッツ・カールトン東京」から見下ろす東京タワーはひときわ美しく、エッフェル塔に重なって見えるほどです。
というと唐突ですが、ミッドタウン・タワー内「ザ・リッツ・カールトン東京」45階の、モダンでエレガントなフレンチレストラン「アジュール フォーティーファイブ」の窓際から東京タワーを眺めれば、皆様にもご納得いただけるはず。目前に広がるのは、エッフェル塔と花の都パリ! な気分になります。
「アジュール フォーティーファイブ」は、もともとインターナショナルキュイジーヌのレストランだった場所を、フレンチシーフードダイニングとしてリニューアルしたお店。大きな窓から東京を一望する店内は、コートダジュールの星付きレストランをモダンで都会的にしたような雰囲気です。産地直送の魚介と新鮮な野菜や果物を用いたフレンチシーフードを中心にしたお料理も洗練されたもの。例えばカルパッチョは柚子とスダチでマリネしたヒラメの旨みと、甘海老の甘み、キャビアの塩気がよく合って、シトラスヴィネグレットや柑橘類の香りが爽やかです。彩り程度に添えられた葉野菜の香りもさりげなく効いています。
そんな「アジュール フォーティーファイブ」のお料理を初めて楽しむなら、おすすめは「レディース ラグジュアリー ランチ」(6,500円 税込み・サ別)。食前のシャンパンに始まり、カルパッチョの前菜、スープ、金沢産の鮮魚のポワレ、お肉料理、そしてデザートがつくフルコースです。
スープの内容は日替わりですが、甲殻類の殻のダシでつくるビスクスープにあたったらラッキーです。サラリとしたテクスチャーに凝縮された旨みが広がるビスクスープはお皿に残ったスープもパンにつけて味わいたくなる……どころか、おかわりしたくなるほど。そして、パンとバター(全コースに共通)が、止まらない美味しさです。ミルク、クルミ、ライ麦の3種のパンは、ほどよくあたためられ、冷めないように白いナフキンに包まれて出されます。バターはアオサノリとトサカノリを練り込んだ2種。「バターは無塩のため、お好みで塩を挽いてかけてください」と、2種のソルト・ミルも出されます。アオサノリのほうが磯の香りが濃厚で、塩を挽いてかけると海辺の空気を思い出します。
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2014.02.28(金)
文・撮影=小松めぐみ
写真=ザ・リッツ・カールトン東京