●これからは、もう少し間口を広げなきゃいけない
――以前のインタビューで「これからも粛々と戦っていきたい」というコメントを残されていましたが、近年2年半の公開作を振り返っていかがでしたか?
別に「頑張ったな」とは思わないですけど、世間に惑わされず、ブレずに、自分がやりたいと思う作品だけに参加できているっていう意識はあります。それを続けていかなきゃいけないし、そのためにはハメを外してはいけないと思うし、粛々とやらなきゃいけないと思いますよね。
ただ、大きく変わったのは、やっぱり独立して、新しい事務所を作ったことで、背負うものは出来ました。綺麗事だけでは無理なので、そういう意味では、もう少し間口を広げなきゃいけない意識も芽生え始めています。
――ほかに、コロナ禍などでの心境の変化はありますか?
コロナ禍で閉館が相次ぐ「ミニシアターを残そう」っていう俳優の動画がたくさんアップされたとき、ちょっと疑問を覚えたんです。本気で考えている人もいるかもしれないけれど、実際に俳優が映画の宣伝会議にも行ってないし、ビジュアルがどうなっているのか、誰が予告編作っているかも分かってないんですよ。それを全部すっ飛ばして、「ミニシアターを残そう」って言うのって、ちょっと虫が良すぎないか? って。
「役者がそこまで突っ込むことじゃない」っていう概念もあるだろうし、生意気だと思われたくないし、嫌われたくないのは分かるけれど、自分のデメリットは負いたくないけど、その活動に参加するっていうのは、よく分からなかった。スタッフ、監督、役者が納得できる作品を自信を持って作ったうえで、「ミニシアターに来てくれ」って言いたいと思いましたから。
2024.03.22(金)
文=くれい響
撮影=今井知佑
スタイリング=タケダトシオ(MILD)
ヘア&メイク=FUJIU JIMI