セラピーは心の健康のために
カップルセラピーを受けるのは20~60代と幅広く、数回で問題解決に至るケースもあれば、数年にわたってセラピーが続くこともあるという。
「COBEYAで多いのは、30代のカップルです。30代は結婚、出産など人生におけるフェーズが大きく変化する時期で、学生時代からの友人とも置かれている環境に差が生じやすくなります。その結果、それまでは何でも話せた親友とも踏み込んだ話をしにくくなり、セラピーという選択をする方が多くなるのだと推測しています」(坂﨑氏)
近年、野末教授のもとには、「結婚しても大丈夫か」と不安を抱える婚前のカップルや、妻との関係に悩む男性からの申し込みも増えているそう。最も多いのは、子どもが誕生してから関係が悪化したカップルや、子どもの自立期に離婚を考え始めたカップルだ。
「子どもの誕生によって、ふたりの価値観や対処法の違いがより明確になり、衝突が増えることは珍しくありません。たとえ愛し合っているカップルであっても、子育て、仕事、実家、お金、セックスなどをめぐって葛藤を感じることは十分にあり得ます。そんな葛藤をふたりだけでは解決できないとき、カップルセラピーを選択肢のひとつとして考えてみたらどうでしょうか」(野末教授)
パートナーや家族との関係という、人生の土台となる環境を良く保つためにカップルセラピーがある。そう受け止められると、心理的なハードルはグッと下がりそうだ。
「健康維持のためにジムに通うように、心に澱を溜めず良好な関係を維持するために、セラピーを受けることが当たり前の世の中になるといいなと思っています。カップルが抱える悩みはさまざま。ひとりで思い悩まず、気軽に相談してください」(坂﨑氏)
●「トーキングサークル」でコミュ力UP
カップルセラピーを受ける前にできることとしてCOBEYAの坂﨑氏が教えてくれたのが「トーキングサークル」。
「クッションやぬいぐるみなど話し手を明確にするトーキングピースを用意し、ピースを持っている人だけが話し、持っていない人は傾聴に徹します。セラピーを受けている方に課題として出すこともある手法で、週1回30分からでいいので、夫婦で落ち着いて話す時間を作ってみましょう」
2024.02.24(土)
文=今富夕起