生理の回数を減らす、生理痛をラクにする、予定していない妊娠を回避する。「ピル」について最新情報を正しく知り、これからの人生に役立てよう。


©iStock.com
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 ピル、特に「低用量ピル」と上手に付き合えば、辛い生理痛や重たい生理の回数自体を軽減できるらしい。思わぬ妊娠への心配も薄まる。それがわかっていても、「ピルを飲み続けると将来妊娠しづらいのでは?」「副作用が心配で踏み切れない」など、誤った情報やネガティブなイメージを持ち続けている人が多いのも事実。

 この実情について、女性のライフスタイルに寄り添い、思春期の子どもに向けた情報発信もしている、埼玉医科大学病院産婦人科助教の高橋幸子先生にお話を伺った。

妊娠を予定しない期間にも本当に生理は必要?

「まるで修行のように、毎月、真面目に生理痛と闘っている人が多くいます。今一度、基本に立ち返り、考えてみてほしいんです。生理は、排卵後に受精卵が着床しやすいよう、子宮内膜をふかふかのベッドのように準備していたものが、受精卵がこなかったので排出された、という結果でしかありません。妊娠を予定していないときに、生理が必要でしょうか?」

 時代とともに初潮を迎える年齢が早くなり、生涯にわたる生理の回数も増える傾向にある。それが、子宮内膜症の一因にもなることを考えると、ピルは多くの女性に関係する話題と言えそうだ。

「低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)を含み、脳に“妊娠中”と勘違いさせて排卵を止めます。よって、服用中は高確率で避妊ができます。排卵がないので子宮内膜はペラペラのお布団のまま。生理痛はラクになり、経血量を減らすことができます」

日本の「低用量ピル」認可は国連加盟国で最後だった

 そもそも日本では、高用量・中用量ピルは1960年代から不正出血等の治療薬として認可されていたが、低用量ピルが医薬品として承認されたのは1999年、国連加盟国(当時188カ国)の中で最後。日本はとても遅かった。

「アメリカで認可された1960年から遅れること39年です。この年、日本では男性のバイアグラが申請からわずか半年で承認され、これに多くの不満の声が挙がったことで、ようやく低用量ピルも承認されたのではと見られています。ピルは経口避妊薬とも言いますが、皮肉なことに、日本では妊娠中絶手術という方法もあるために、低用量ピルが承認されにくかった面もあるようです」

 低用量ピルは当初、避妊薬として知れ渡ったことから、「性的に奔放な女性が飲む」というネガティブなイメージが先行し、日本での普及を阻んだ一面もあるようだ。

「確かに、排卵を抑えるので避妊効果はありますが、現在、保険適用となるのは月経困難症と子宮内膜症の治療目的の薬として。避妊目的だけの場合は自費診療です」

 生理に合わせてスケジュールを調整しなくていい。わけもなくイライラする感情を抑える努力も必要なくなる。メリットが多い上に、保険適用の場合、ジェネリックなら1シート(1カ月分)千円以下(診察料は別途)と低コストで始められる。たとえば毎月の生理痛の鎮痛薬を買うお金を考えれば、決して高くはないはずだ。

2022.11.28(月)
Text=Yuki Imatomi
Illustrations=Haruhi Takei

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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