子宮内膜症を予防し妊娠しやすい子宮を保つ
そして、低用量ピルは、子宮内膜症の予防にもなる。子宮内膜症は、子宮内膜の細胞が卵巣や腹膜に間違って入り込み、月経周期に合わせて増殖し、血液が排出されず溜まったり、癒着を起こすもの。
「低用量ピルで生理の回数を減らすことが子宮内膜症の進行を食い止めます。子宮内膜症の初期症状はまさに“辛い生理痛”。毎月生理痛で悩んでいる方は、子宮内膜症の悪化防止のためにピルという選択もしていただきたいです」
子宮内膜症が悪化すると、腫れによって子宮が変形し、妊娠のしづらさにも直結してしまう。
「ピルを飲むと妊娠できなくなるというのは都市伝説で、真実は真逆です。ピルの服用によって妊娠しやすい子宮の状態を保つことができ、ピルの服用を中止した次の排卵から妊娠が可能です。しかも、服用中止直後はいい排卵が起こるので、妊娠の確率が高まることも覚えておいてくださいね」
ここまでメリットばかり伝えてきたが、薬である以上、ピルにはデメリットもある。
「飲み始めの数日間、吐き気や頭痛、むくみなどが出る方はいますが、次第に治まるケースがほとんど。副作用でもっとも心配なのは血栓症で、40歳以上、喫煙者、高血圧、高脂血症、肝機能障害のある方などには処方できないことがあります。血栓症のリスクは稀ですが、どうしても心配な方には、プロゲスチン(黄体ホルモン)単剤のピルが処方できます。ただし、こちらは排卵を止められないので避妊効果はありません」
2022.11.28(月)
Text=Yuki Imatomi
Illustrations=Haruhi Takei