●地上波ドラマ大賞「VIVANT」(TBS)

 堺雅人や役所広司の演技はもちろん最高だったが、個人的には、顔がチワワとドーベルマンくらい違うのに、しっかり役所広司の若い頃に寄せてきた林遣都にびっくりした。

 映像や演技だけではなく、考察班の推理もアツかった。卵の黄身や、赤飯を食べる二階堂ふみの表情についてさえ検証の手を緩めない考察動画に夢中になり、おかげで私の中で「VIVANT」は5つ以上のパラレルワールドがある。「考察班」は今年の流行語にノミネートされても良かったと思うほど。こちらも年末年始一挙再放送!

●同率:地上波ドラマ大賞「大奥」(NHK)

 タイムスリップし、隠されていた本当の日本史を見てしまった感! 大奥の廊下をランウェイに変える冨永愛に見惚れ、鈴木杏の「それでねそれでね」に萌え、顔をゆがめ吠える仲間由紀恵に戦慄。和宮を演じた岸井ゆきのの慶喜ディスリ「アホなん?」「スカンタコ」は、悪口にもかかわらずα派が出ているのかと思うほど、リフレッシュ効果がすごかった。

 2010年頃、民放局から時代劇が消え、このまま衰退するとまで言われた時期が嘘のよう。今一番見たいジャンルかもしれない。来年はフジテレビでも「大奥」が始まる。こうなれば徳川にどっぷり漬かるとしよう。観ます!

2023.12.28(木)
文=田中 稲