●ミステリアス・ラブ賞「ハヤブサ消防団」(テレビ朝日)徳田省吾役・岡部たかし

 今年、私にとって映画「RRR」と並んでインパクト大だったのが、「ハヤブサ消防団」の岡部たかしさん。なぜかバブル期のタクシーチケットを思い出させる、不思議なクリエイターフレイバーと、つかみどころのない感じ、タイプとしては苦手なはずなのに恋におちた。なぜ! 連続テレビ小説『ブギウギ』でも「アホのおっちゃん」という、朝ドラにあるまじき役名で出演しているが、それすら「この役名を与えられることこそ、将来有望の証」と思ってしまう。彼の魅力が怖い。

●若き天才が見つかったで賞「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ)

 芦田愛菜、松岡茉優という演技力モンスターが圧巻だったが、学校ドラマは未来のスターを見つけられることこそ至福。當真あみの透明感、奥平大兼の「素の学生が混じってる」と勘違いするくらいの自然感。二人に無限の伸びしろが見えた。工学研究会コンビ(福崎那由他・萩原護)が披露した、いじめっ子との斬新な決別法「ちゃんとハブってください」「相手も会話もせずに関わらないでください」はナイススッキリセリフ賞。

●七変化賞「合理的にあり得ない 上水流涼子の解明」(フジテレビ)

 生活感などいらない。とにかくカッコ良くてバリバリハードボイルドな天海祐希さんを拝みたい、という私の願いが届いた一作。タイトルさながらにあり得ない設定が多かったが、彼女のコスプレですべてがノープロブレムに。これぞドラマの醍醐味!

2023.12.28(木)
文=田中 稲