◆プンダミリア本店

 有名アパレルショップの路面店が立ち並ぶ三条通の一角に、国登録有形文化財にも指定されているレンガ造りの建物があります。大正5(1916)年に建てられた旧不動貯金銀行京都支店の建物で、現在はテナントビルとして利用されており、一歩足を踏み入れれば大正ロマンに誘われます。

 階段を上がって2階へ行くと「プンダミリア」という花屋さんにたどり着くことができます。

 プンダミリアは関西に複数展開する関連店舗の本店で、プリザーブドフラワーの専門店です。生花店に併設してプリザーブドフラワーを扱うお店は多いですが、これだけの規模でプリザーブドフラワーを専門に扱うお店は日本でも珍しく、モノづくりの文化が根付く京都ならではのお店です。

 生花にはない色みを生み出せるのもプリザーブドフラワーの利点で、店内は、まるで宝石箱に飛び込んだような鮮やかな色彩であふれていて、胸が高鳴ります。内装もロココ調を少しポップにしたような雰囲気で、ワクワクがさらに高まります。

 僕が訪れた時には、スタッフの方が手際よくアレンジをしていました。花を加工し開花させたり、ワイヤーを巧みに操って角度をつけたりなど、美しい花をさらに美しく見せる手作業を間近で見られるのもこのお店の魅力の一つかもしれません。

 大正ロマンを感じる建物の2階には、まるでおとぎの国に迷い込んだような、ファンタジックなプリザーブドフラワーショップがありました。

プンダミリア本店

所在地 京都府京都市中京区三条通富小路西入中之町20 Sacraビル2階
電話番号 075-256-1233
営業時間 11:00~19:00
定休日 なし
https://pundamilia.jp/


 いかがでしたでしょうか。

 花×コーヒーの手軽さ、花×市場の活気、花×アンティークの輝き、花×モノづくりの心……今回京都の花屋さんを巡ってみて気がついたのは、どのお店も花と別のものを組み合わせて、新しい空間を生み出しているということでした。そして、それこそが京都の花屋さんらしさなのかなと思いました。

 神社仏閣を見学した後に、カフェでコーヒーを飲んだ後に、ディナーやバーに立ち寄る前に、ふらりと花屋さんを覗いてみれば、知られざる京都の魅力を発見できるかもしれません。

佐藤俊輔(さとう しゅんすけ)

フラワーデザイナー。大手百貨店退社後、花の世界へ。2014年モナコ国際親善作品展国内選考会で特別賞を受賞。'17年「女性自身」(光文社)、’19年日本最大級の花材通販「はなどんやアソシエ」にて季節のアレンジメントを連載。テレビ、ラジオ出演のほか伊勢丹メンズ館のディスプレイ装飾など幅広く活躍。CREA WEBにて「ブルームカレンダー」連載中。

Column

新しい私を、花と。
Playful Flower Life!

花を買って家に飾る、それだけでも十分に豊かな時間を過ごせるけど、花の楽しみ方はノールール。今まで知らなかった新しい花との付き合い方を、フラワーデザイナーの佐藤俊輔さんがお届け。もっと自由に花と触れ合って、プレイフルな日々を楽しもう。

 

2023.10.05(木)
文=佐藤俊輔