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地球の裂け目、「シングヴェトリル国立公園」

 さあ、今日はアイスランド南部のメイン、ゴールデンサークルと呼ばれる三大スポットを巡る。

 まずは宿から40分のシングヴェトリル国立公園。

 ここではアイスランド語で「ギャウ」と言われる裂け目が見られる。

 西側の北米プレートと東側のユーラシアプレートに引っ張られてできる溝。地表に露出した海嶺を見られるのはアイスランドだけである。ザクザクと溶岩でできた溝の道を進む。大地の裂け目を歩けるなんて。

 この公園は92キロ平米メートルの広さ!

 ギャウの幅は地下変動によって1年に2、3センチほど広がっているらしい。つまりこの一帯は生まれたての大地といえるのだ。

 東西のプレートが陥没した一帯には幾つものギャウが走る。長い時間をかけて大地が割れる一瞬を今見ているのだ。壮大な物語のひととき。この大地から圧倒的な力を感じる。

 青空に険しい壁が映える。

 この公園は930年に世界初の民主議会「アルシング」が設立された場所ということで世界遺産にも登録されている。

2023.08.23(水)
文・撮影=大坪千夏