パラッツォとは、イタリア語で「館」「宮殿」のこと。今回は、注目のパラッツォを3軒をご紹介。
いつの時代もシチリアの都であり続けたパレルモには、豪華な館が数多く建てられ、それらは博物館やホテル、そして貴族の住居としても今なお現役。華やいだ時代の記憶を伝える美しい館を旅の拠点に。
今も男爵一家が住まう館で究極のステイ
◆Palazzo Arone dei Baroni di Valentino(パラッツォ・アローネ・デイ・バローニ・ディ・ヴァレンティーノ)

かつての有力貴族の館が立ち並ぶ“王宮へ続く道(現ヴィットリオ・エマヌエーレ大通り)”の畔、大聖堂から約400メートルの位置に鎮座する「パラッツォ・アローネ」は、シチリア政界の重鎮ドン・ジルベルト・ボローニ・ディ・マリネオ侯爵が、1555年に建設。

カステルヌォヴォ大公のパレルモ邸となった18世紀に当時シチリアで活躍していた芸術家たちが召集され、贅を尽くした装飾が加えられた。その後ジュゼッペ・アローネ男爵が購入。
1880年、孫のフランチェスコと名門ミルト公爵家のマリアンナ・ランツァ・フィランジェリの結婚に際して、新居として贈られたという。

以降、受け継がれた伝統と芸術品を守りながら同男爵家が暮らし、ファミリーの生活空間である館の一部を2005年にホテルに改装。宿泊するゲストは、数百年の生きた歴史のなかに身を置くことができる。

とくに、祖父母が婚姻の祝宴を挙げ、両家の紋章があしらわれたダイニング、祖母マリアンナの日記を公開するプライベートサロン、さらにその続きにあるスイートでは、まるで貴族の仲間入りをしたような稀有な体験ができる。

Palazzo Arone dei Baroni di Valentino(パラッツォ・アローネ・デイ・バローニ・ディ・ヴァレンティーノ)
所在地 Via Vittorio Emanuele, 376 Palermo
電話番号 351 0268224
客室数 8室
料金(1室) 250ユーロ~(1室2名利用)
https://www.palazzovalentino.com/
2023.08.14(月)
文=岩田デノーラ砂和子
撮影=志水 隆
編集=矢野詔次郎
コーディネイト=岩田デノーラ砂和子
CREA Traveller 2023 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。