この記事の連載
- アペリチェーナ #1
- アペリチェーナ #2
- アペリチェーナ #3
今、イタリアで人気なのが“アペリチェーナ”という新スタイル。“アペリチェーナ”の楽しみ方や、“アペリチェーナ”を楽しめるレストランをご紹介。
「アペリティーボ+夕食」居酒屋感覚の新スタイル
夜の帳が下り、街並みがオレンジ色にライトアップされ始めるころ、パレルモの街は再び賑わい出す。一日の疲れを癒やし、リラックスして過ごす夕暮れのアペリティーボは、「人生で、最も大切にしている時間」という人もいるほど、イタリア人に愛されている大事な習慣だ。
さて、アペリティーボとは食前酒のこと。ラテン語の“アペリティヴス(開ける)”に由来し、胃を開ける=食欲増進のため食前酒を飲む習慣が、古代ローマ時代にはすでにあったという。
18世紀にトリノで“ヴェルモット”が誕生し、商品化されてから、様々な食前のカクテルも生まれた。今やアペリティーボは、時間そのものを楽しむ概念としてすっかり定着。生活の一部になっている。
そして昨今人気のアペリチェーナは、そんなアペリティーボと、夕食を意味するイタリア語“チェーナ”を組み合わせた造語。アペリをかねた夕食、要するに、食事をしながら楽しむアペリティーボだ。
シチリアでは夕食は、南欧らしく21時ごろからと遅いが、アペリチェーナの場合、始まるのは19時ごろ。一杯飲みながら、いろいろな料理を少しずつ盛り合わせたプレートや、アラカルトの一品料理をわいわい気の合う仲間と囲めば、まるで居酒屋。日本人にとっては、馴染み深いスタイルかもしれない。
時代とともに変わりゆく、アペリ事情。変わらないのは、人生を豊かに演出するものであるということ。古代ローマ人のように食欲増進しながら、パレルモ居酒屋で、イタリア的人生の愉悦に浸ろう。
●注目のレストラン
CuFu(クフ)
所在地 Via Bott ai, 6 Palermo
電話番号 331 6003269
https://www.facebook.com/cufu.palermo/
2023.08.03(木)
文=岩田デノーラ砂和子
撮影=志水 隆
編集=矢野詔次郎
コーディネイト=岩田デノーラ砂和子