シチリア菓子の世界は、奥深い。“テスタ・ディ・トゥルコ”“スフィンチ”“パスタ・レアーレ”……、知られざる菓子が、数限りなく存在する。
今、私たちが出会えるシチリア菓子は、長い歴史と異文化が溶け合った甘い記憶。今回はおすすめの2軒をご紹介。本場の名店で、本物の味をご賞味あれ!
これが本物! 修道院に伝わるレシピを再現
◆I Segreti del Chiostro(イ・セグレーティ・デル・キオストロ)
![マルトラーナ修道院発祥の“フルッタ・マルトラーナ” 50ユーロ/kg(量り売り)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/1280wm/img_46dfddd193de8de683eec801ca9a0f45270459.jpg)
シチリア伝統菓子といえば、主に修道院が発祥だが、そのレシピは秘密にされ、口伝のみで受け継がれてきた。
![パレルモの最も美しい教会のひとつ、サンタ・カテリーナ教会。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/4/1280wm/img_6445bea5ea2cbb3d95e6fcdb5eb3182e548933.jpg)
美しいサンタ・カテリーナ教会修道院内にある、その名も「イ・セグレーティ・デル・キオストロ(回廊の秘密)」は、貴重な修道院の伝承レシピを、研究するプロジェクト。
![かつてキッチンだった空間が工房兼ショップに。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/1280wm/img_211329aed32d42c0c9998b6257275ffc167732.jpg)
そのレシピを厳選素材で再現し、販売する工房兼ショップがこちら。パレルモにあった各修道院から発掘されたレシピは、現在200点以上。
![素朴で美しい菓子。左から “トリフィー・アッラ・マンドルラ” 2ユーロ、“ビスコッティ・パパーリ” 30ユーロ/kg(量り売り)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/4/1280wm/img_046801a0c291e4e61c12f20403495940310307.jpg)
うち約30種類の再現菓子がショーケースに並ぶ。なかには、生き証人である高齢の修道女に味見をしてもらい、再現性を高めたものもあるという。
![“カンノーロ”は、バディア・ヌオーヴァ修道院で現在のレシピが確立。3ユーロ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/7/1280wm/img_076040d421c6ea5b2af6a6d77aa7ba83267829.jpg)
修道女の高齢化に伴い、残念ながら修道院としての機能は、2014年に失ってしまったが、院内は当時のまま。ショップはかつてキッチンだった場所にあり、往時の調理器具も展示されている。
![サンタ・マリア・デッレ・ヴェルジニ修道院の“トリオンフォ・ディ・ゴーラ” 32ユーロ/kg 名作映画『山猫』にも登場する。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/b/1280wm/img_4b9f1d505a830dc443311554649812d4194591.jpg)
なお、イートインは、開放感のあるパティオにて。静謐なムードが漂う本物の修道院で、本物の伝統シチリア菓子をいただく貴重な体験を。
![マヨリカ陶器のタイルが敷き詰められた修道院内のパティオ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/0/1280wm/img_c0135739b270cec0573b0c0e1b679c20511714.jpg)
》「イ・セグレーティ・デル・キオストロ」の他のお菓子の画像を見る
I Segreti del Chiostro(イ・セグレーティ・デル・キオストロ)
所在地 Monastero S. Caterina, Piazza Bellini, 33 Palermo
電話番号 327 5882302
営業時間 10:00~18:00(最終入場 17:30)
定休日 12月25日
https://www.isegretidelchiostro.com/
2023.07.17(月)
文=岩田デノーラ砂和子
撮影=志水 隆
編集=矢野詔次郎
コーディネイト=岩田デノーラ砂和子
CREA Traveller 2023 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。