この記事の連載
タイ・カオヤイ リゾートホテル #1
タイ・カオヤイ リゾートホテル #2
タイ・美しき手業 #3
古き時代の鉄道をイメージし、広大な敷地に森と湖が広がる「インターコンチネンタル カオヤイ リゾート」。そこに立つ標識には旅の始まりを示す「カオヤイ・ステーション」の名が刻まれている。
注目のマウンテンリゾート・カオヤイから、2つのホテルを2回に渡りご紹介。
広大な敷地の至るところに古き鉄道へのオマージュが
◆InterContinental Khao Yai Resort(インターコンチネンタル カオヤイ リゾート)

ゴージャスなホテルのような鉄道は世界にあまた存在するが、鉄道がそのままホテルになったという例はそうないだろう。鉄道好きなら涙しそうな、そんなラグジュアリー・リゾートが、カオヤイに登場した。2022年9月にオープンした「インターコンチネンタル カオヤイ リゾート」だ。

建築デザインを手がけたのは数々のアジアンリゾートで知られるビル・ベンズリー氏。タイの鉄道旅の黄金期と呼ばれるラーマ5世の統治時代、カオヤイがタイ東北地方への鉄道輸送の窓口だったことからインスピレーションを得たもので、エントランスから客室、ダイニングまで、すべてが当時の鉄道をイメージしてデザインされている。

到着後、鐘の音とともに案内されるのは、小さな駅舎のようなチェックインカウンター。室内には古いトランクや列車の部品が飾られ、ベッドまで設えられている。これは架空の人物、ソムサック駅長の駅長室なのだとか。いかにも遊び心に満ちたストーリーだ。

客室はスイートルームとヴィラを含む64室。スイートルームは寝台車をイメージしており、車窓を模した壁面には、走る列車から眺めるカオヤイやタイの田園風景が描かれている。また、本物の鉄道レールが敷かれた道の先に建ち並ぶヴィラは、アップサイクルした古い鉄道車両そのものが客室に。豊かな木々が茂る森といくつもの湖を配した広大な敷地には、経験したことのない鉄道旅行が待っている。

2023.06.11(日)
文=張替裕子(Giraffe)
撮影=橋本 篤
コーディネート=大串輝章
CREA Traveller 2023 vol.2
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。