祝50周年……そこは気づこうよ

永嶋 そこから話が展開して中盤以降どんどん動いていくわけですけれど、この〈研究所〉の目的というか、この子たちの用途というか、それが意外と新しいなと思って。こういうのはなかったかなと。スパイにするとかそういうのはありましたけど、こういう形でこういう人たちを使うというのはありそうでなかったかも。

高橋 超能力ものでいうと『ファイアスターター』が一番近いんじゃないか、とありましたし、『ダーク・ハーフ』……じゃないな、ごめんなさい、『デッド・ゾーン』だ。そのあたりがちょっとずつ似ているというのはありましたけど、確かにこういう用途というのはありそうでなかったですね。

永嶋 『ファイアスターター』に出てくる秘密組織の「The Shop」、「店」ね、あれはどっちか言うと尻ぬぐいみたいだし。あれでは超能力自体がむしろ副産物だからね。別の国家的陰謀の結果として、意図せずにできたものだから、あんまり利用するしないは考えられていなかった。読み直さなきゃな、と思いながら読み直してないんだけど(笑)。

高橋 なるほど。

永嶋 そのへん、今回の〈研究所〉は、皆さんご存知の方はご存知だと思いますが、キングにインスパイアされたテレビドラマの『ストレンジャー・シングス 未知の世界』、ネットフリックスでしたか、あれをキングがもういっぺん逆輸入したような感じがあると。そんな気がして大変面白い。ところで、キングは来年50周年なんですよね。

高橋 そうですね、1974年に『キャリー』が商業出版されて。日本で翻訳されたのが翌年なので、まあアメリカデビューということですけども、2024年が作家生活50周年であると。……ということを、我々は誰も気がつかなかったんですけど(笑)。

永嶋 弊社の営業部員が、「50周年じゃないですか?」と発見してくれたという(笑)。これ、キング側も全然気づいてなかった。僕、先日のロンドンブックフェアでキングの代理人に会ったんですけど、「キングさん50周年ですよ」と言ったら、「あ、そうなんだ!?」って言ってた(笑)。

2023.07.21(金)