高橋 そういう感じみたいですよね。そういうこんがらがった様をキングが書いているのを思い浮かべると、もう楽しそうです。
永嶋 最高ですよ。キングの好きなものが全部入っているんじゃないかという気がしていて。『ミザリー』っぽいし。ノワールの巨匠のジム・トンプスンという人がいるんですけど、彼の小説でやっぱり、殺し屋が小さな大学町に潜んで機会を待つという話があって、それも意識しているんじゃないのかなと思うし。『Billy Summers』は面白そうなんですよ。
全米100万部! の第3弾
高橋 さらに、第3弾として控えているのが『Fairy Tale』。
永嶋 ジャンル名そのものじゃないですか。
高橋 おとぎ話、ですか。
永嶋 ファンタジーです! という。まさにファンタジーなんだけど。これはまだ中味まで細かく見ていないんだけど、主人公は高校生でしたっけ。それこそ『ナルニア国物語』のクローゼットじゃないけど異世界に入っていって。ガチの異世界ファンタジーなんですよね。で、犬が出てくる(笑)。まあキングがファンタジー好きなのは有名ですけど。『ダークタワー』もファンタジーだし。ただ、タイトルからして真っ向勝負というのは。
高橋 すごいですよね。
永嶋 コロナ禍中に、どんなものを書けば俺は一番ハッピーなんだろう、と考えて思いついたのがこれだったということなんで、おそらく楽しんで書いたというところもあるでしょうしね。キングという作家は、節目節目で代表作のような大きな作品を書くじゃないですか。『アンダー・ザ・ドーム』だったり、『11/22/63』があったり、その前だと『グリーンマイル』があったりだとか。定期的に、彼にとって節目になる作品を出してきていて、『Fairy Tale』は題名からして、本人も自覚的にやっている感じがしていて。
高橋 気迫のこもった感じがする。
永嶋 そうなんですよ。
高橋 これはもうアメリカではだいぶん売れているとか。
2023.07.21(金)