「妻はあまり俺に興味を持ってくれない」
――本ができた時、最初に見せた相手はどなたですか?
佐藤 息子じゃないですかね。実際にはまだ読ませてなくて、妻の検閲が入ってから渡す予定です。……でも、あれだな。脚本の部分は実現するとR指定が付くやつだから、息子が読むのは無理かな。不安になってきた。その部分は黒塗りして妻に出そうかな。
――奥様は佐藤さんのコラムを読むんですか?
佐藤 読まないんですよ。「鴻上尚史のほがらか人生相談」とか、「三谷幸喜のありふれた生活」は買って読んでますけど。あんまり俺に興味を持ってくれないんだよね。彼女は割とクールなタイプで、俺が「ハグしよ」「ほっぺにチューしよ」って言っても、「早く寝ろ」と一蹴するんです。でも、これは全部彼女のテレである、と。そう思っていますけどね。
考えてみると、俺の周りにいる人たちはクールなタイプが多いですね。俺自身は「ウェー!」って両手を振って騒いでいる感じですけど。演劇ユニット「ちからわざ」で最初に脚本を書こうとした仲間もクールだった。自分の手柄とか、あんまり人に言わないんですよね。俺は人の手柄でも「俺だー!」って感じで言うけど(笑)。
――息子さんはどちらに似ているんですか?
佐藤 いまのところ、妻にちょっと似ているかな。俺自身、息子には妻に似てほしいと思っていますから、うれしいですけどね。でも、「ウェー!」って騒ぐことでうまくいくこともあるから、その辺はうまく社会の荒波を渡ってほしいと思いますね。
セリフ覚えは早い方
――佐藤さんは俳優として非常に人気で、コラムを書く時間がほとんどないように感じますが、いつ書いているんですか。
佐藤 よく聞かれますけどね。会社勤めしている人よりは、全然あると思いますよ。もちろんそれには濃淡があって、1カ月休みがない時もあれば、反対に1カ月休みだよってこともあるんですが。舞台とか番組を掛け持ちしているという意味では、芸人さんの方が忙しいんじゃないかな。
――それでもセリフを覚えたり稽古があったりで忙しそうです。セリフ覚えが早いタイプなんですか?
佐藤 セリフ覚えはいい方だと思います。でも54歳なので、これから衰えていくと思いますね。
2023.07.15(土)
文=ゆきどっぐ
撮影=石川啓次
スタイリスト=鬼塚美代子(アンジュ)
ヘアメイク=今野亜季(A.m Lab)