やんちゃな高校時代から一転、映画の勉強に没頭
――それで地元でヤンキーやったり、ブレイクダンスのチームを組んだりするわけですね(笑)。でも普通、そんな自由な生活を送っていたら、高校を卒業しても映画の勉強しませんよね?
それができるんですよ(笑)。高校までは本当に落ちこぼれだったんですけど、映画の専門学校(東京ビジュアルアーツ)に入ってからはあえて優等生を目指してやろうと思って、必死に勉強しましたね。周りの地方出身の同級生は、東京に出てきたばかりということもあって遊んだりしているんだけど、俺だけ無遅刻無欠席。それに最初は学生時代の名残からか柄が悪くて、みんなから怖がられていたんだけど、好青年風の髪型や服装に変えて「そんなに悪い人じゃないらしいよ」と思われるようにした。あと、他人の悪口を言わないようにしていたら、みんな心を開いてくれました。
――在学中には、憧れの塚本晋也監督の現場にボランティアとして参加しますよね?
高校生のときから塚本監督の『鉄男』の存在は知っていたんですが、あえて見てなくて、専門(学校)のときに初めて見て、かなりド肝を抜かれたのを覚えています。じつは専門の2年生になった頃、一生懸命勉強しても先が見えなくて、「エンドクレジットに自分の名を載せることができるのか?」と不安に陥ったんです。それで、まずは照明のレンタル会社に就職しようって。自主映画を作るうえでの照明の勉強をしながら、3年ぐらい働けばプロの映画の照明部から「ウチの現場おいでよ」と誘いが来て、そこで5年ぐらいやっていれば塚本監督と出会えるんじゃないか、という8年計画を立てたんです。ところが、専門を卒業前に『バレットバレエ』で塚本組に入ることができて、驚きました。
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2013.12.14(土)
text:Hibiki Kurei
photographs:Mami Yamada