出来るかぎり周りの景色や人の声に左右されることなく生きていきたい
――ニュースで事故のことを見知っていても、実際にその場にいた方々がどういう心境だったかということにまで、思いが至りません。ドラマという形で伝えていただいたことで、出来事の重さや解決されてない廃炉の問題など、改めて考えなければいけないことに気づかされました。
そうですね。12年の歳月を経て、こうして世界配信のドラマとして映像化することで、言語を超えてあらゆる人々に届けることが出来るので、原子力エネルギーが必要な時代が続く以上は、世界のどこかで再び事故を起こさないためにも、映像のなかから何かを感じていただくきっかけになればと思います。
――竹野内さんご自身は、50代になられて、作品との向き合い方など、昔と比べて、何か変化はありましたか?
基本的なことはあまり変わりません。役作りと言うほどではありませんが、事前に色々考えていくだけではなく、その場のその瞬間、自分のなかに湧き上がる真実の気持ちを、出来るかぎり表現できるように心がけています。
――以前、インタビューで、「俳優は、その人が生きてきた人生が役に滲み出る」とおっしゃっていました。竹野内さんはいま、どのような人間でいたいと思われますか?
役者として生きてゆくというよりは、ひとりの人間として、出来るかぎり周りの景色や人の声に左右されることなく生きていきたいですが、やはり何事にも誠実であることを心がけて行きたいですね。
竹野内豊(たけのうち・ゆたか)
1971年生まれ。東京都出身。94年に俳優デビューし、ドラマ、映画で活躍。02年に『冷静と情熱のあいだ』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、11年『太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-』でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。2022年には「京都国際映画祭」で三船敏郎賞を受賞。近年の出演作では、ドラマ『イチケイのカラス』(21/FNN)、『さまよう刃』(21/WOWOW)。映画には『シン・ゴジラ』(16)、『孤狼の血』(18)、『カツベン!』(19)、『シン・ウルトラマン』(22)、『イチケイのカラス/劇場版』(23)、『シン・仮面ライダー』(23)など。今後の公開待機作に、映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』、映画 『唄う六人の女』が公開予定。
『THE DAYS』
2023年6月1日(木)よりNetflixにて世界独占配信
企画・脚本・プロデュース:増本淳
監督:西浦正記 中田秀夫
原案:門田隆将『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫刊)
出演:役所広司、竹野内豊、小日向文世、小林薫、音尾琢真、光石研、遠藤憲一、石田ゆり子、泉澤祐希、丸山智己、鈴鹿央士、渕上泰史、小木茂光、高橋和也、六平直政、酒向芳、でんでん、吹越満
https://www.netflix.com/title/81233755
2023.05.31(水)
文=CREA編集部
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=須田理恵
スタイリスト=下田梨来