コメディタッチからシリアスなドラマまで、さまざまな役柄で魅力を発揮している俳優の竹野内豊さん。今年、52歳にして新たな挑戦をした。

 最新作はNetflix配信のドラマシリーズ『THE DAYS』。福島第一原発事故を描いた衝撃作である。2011年3月11日の東日本大震災。巨大地震と大津波により、福島第一原子力発電所では全6基のうち4基の原子炉が制御不能となった。そのとき何が起き、人々はどんな選択をしていったのか。

 福島、東電本店、日本政府の3つの現場で起きたことをドキュメンタリーのように克明に描いたドラマである。竹野内さんは、本作のなかで苦渋の決断を迫られる中央制御室の当直長・前島を演じた。最新作について、演じることについて、静かに語ってくれた。


日本だけでなく、世界に届けることに意義を感じて参加した作品

――『THE DAYS』は現実に起きた福島第一原発事故をテーマにしたドラマシリーズ。ご出演を決めるには勇気がいったのではないかと思います。参加を決意された理由は何ですか?

 福島の原発事故は世界的に見る大惨事でしたし、あのとき、現場にいた人々の心情、そして避難者の方々の決して癒えることのない心の叫びは、我々の想像を遥かに超えるものだと思うと、安易な気持ちで触れてはならないという責任を感じていましたが、今回は日本だけでなく、世界に届けることに意義を感じて参加させていただくことにしました。

――脚本を読まれてどう思いましたか?

 脚本に描かれていることはごく一部にしか過ぎないかもしれませんが、事故当時の作業員の方々の緊迫した心理描写や、原発が暴走していき、なすすべもない怖さはとても伝わってくるものがありました。

2023.05.31(水)
文=CREA編集部
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=須田理恵
スタイリスト=下田梨来