2月に公開され話題を呼んだ、映画『仕掛人・藤枝梅安』。その2部作目が4月7日より公開されます。鍼医者・藤枝梅安と、楊枝職人・彦次郎には、金をもらって依頼を受け、生かしておいては世のためにならない人間を殺す“仕掛人”という裏の顔が……。

 ダークヒーローを演じた豊川悦司さん、そのバディを演じた片岡愛之助さんに、池波作品が描く「闇」の魅力について伺います。


 ――今回、『仕掛人・藤枝梅安』2部作に出演されて、どっぷりと池波正太郎さんの世界に浸かったと思いますが、おふたりにとって池波作品には、どんな思い入れがありますか。

 豊川 まず、なによりも面白いということです。とにかく、早く続きが読みたくなる。梅安シリーズは絶筆になってしまったのが、読んでいて悔しいほどです。そう感じるのも、登場人物に魅力があるからですよね。キャラクターだけではなく、その人物が生きている背景が浮かび上がってくる。そこが池波先生の作品群の魅力でしょう。そして今回、そうした感覚を映画の中に、どう落とし込むか。それが今回の大きなテーマだったと思いますが、実現できたのではないかという手応えがあります。

とよかわえつし 大阪府出身。近年は映画『ミッドウェイ』、『キングダム2 遥かなる大地へ』、『あちらにいる鬼』、『そして僕は途方に暮れる』等話題作に出演。
とよかわえつし 大阪府出身。近年は映画『ミッドウェイ』、『キングダム2 遥かなる大地へ』、『あちらにいる鬼』、『そして僕は途方に暮れる』等話題作に出演。

 ――愛之助さんは時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇『鬼平外伝 四度目の女房』にも出演されています。

 愛之助 池波先生の作品に出演すると、食事のシーンの撮影が楽しみなんですよ(笑)。

 豊川 今回は、池波先生の作品の料理に関する著書(共著)もある日本料理の名店「分(わけ)とく山(やま)」の総料理長・野﨑洋光さんに料理監修をお願いし、何度も撮影所に足を運んでいただき、その現場で料理を作っていただきました。

 愛之助 たくさん、いただきました。美味しいものをいただけるので、本当に幸せでした。

 豊川 もちろん、当時の料理を再現するわけですからとてもシンプルなものですが、出汁と素材でこんなにおいしい料理が出来ることに驚きましたね。

 ――たしかに湯豆腐が美味しそうで……。

2023.04.10(月)
取材・構成=生島 淳