愛之助 彦次郎は食べられないシーンがあって、「いいなぁ」と指をくわえて見ていたら、豊川さんが「これ、良かったらひと口どうぞ」と持ってきてくださって。美味しくいただきました(笑)。
――おふたりの関係性の良さが伝わってきます。
豊川 実は、監督やプロデューサーに「彦次郎役のイメージはありますか」と相談された時に、最初に思い浮かんだのが愛之助さんでした。
愛之助 はじめてうかがいました(笑)。それは、本当ですか?
豊川 本当ですよ。これまで共演した経験はなかったけれど、僕には愛之助さんしか浮かばなかった。それは愛之助さんが持ってらっしゃる役者としての「華」が、他の俳優さんとは違った匂いがするなあと感じていたからなんです。「いつか御一緒したいな」と思っていたので、最高の形で共演させていただきました。
愛之助 こんなにうれしいことはないです。歌舞伎とのスケジュール調整もうまくいき、全力で専念させていただくことができました。
豊川 うまく行く時って、そういうものですよ。
愛之助 本当に良かったです。これまで映像作品に出演する場合は、歌舞伎に出演しながら撮影に参加させていただくのですが、今回はこの作品にのめりこんだ三カ月間だっただけに、豊川さんのそのお言葉はうれしいです。でも、豊川さんの梅安さんをはじめて拝見した時に、「うわっ、原作の梅安がそのまま出てきた」と思いましたよ。
――原作では彦次郎の方が年上ですが、今回は梅安の方が年上という設定に変わっていますね。
愛之助 有難いことに、今回ならではのことでした。自然に表現出来たかと思っています。
梅安撮影の舞台裏!
――撮影は、どの時期に行われたんですか。
豊川 ちょうど冬の京都での撮影になりました。とても寒かったです。時代劇なので中に着こむといっても限界があるし、防寒対策がいちばん苦労しました。なにせ、私は丸刈りだったもので……。
――それは寒かったでしょうね(笑)。
2023.04.10(月)
取材・構成=生島 淳