少女と少女、男と女、母と娘 ―― 密やかな関係を巧みに描くふたりの作家の初対談が実現。唯一無二の関係性はいかに生み出されているのでしょうか。2022年秋に刊行された一穂さんの最新刊『光のとこにいてね』をきっかけに、おふたりの対話が弾みます。


◆唯一無二の関係性に惹かれる

川上 『光のとこにいてね』、一日で読んじゃいました。「作者の方と対談するんだ」という気持ちでじっくり読もうと思っていたのに、二人がそれぞれどうなっていくのかが気になって、「どうなるの、これは……! 次、どうなるの?」と、じっくり文章を味わう間もなく、読みふけっちゃいました。
 物語のラストは最初からイメージされていたんですか?

一穂 ありがとうございます。いえ、イメージはまったく。実は、自分でもどうなるのかな、と思いながら書いていました……。そもそも私、書く前にあまりプロットを詰められないタイプなんです。川上先生はいかがですか?

川上 あ……、「先生」はやめて~……。「さん」でお願いします(笑)。
 私も全然詰められないです。一緒だと思います。一穂さんは今回の『光のとこにいてね』がはじめての長篇連載だとお聞きしましたが、書き下ろしと違って、連載でもあまり先のことを考えずに書き進められましたか?

一穂 はい、連載でも、走りながら次の道を探していました。少女たちが出会って、大人になって……という流れ以外決めずに書いていたので、「今回はここまで書いたから、後のことは来月の自分、頼んだぞ」というのを繰り返して。だから翌月になると、過去の自分に「お前……」みたいな憤りを覚えることもありました(笑)。

 でもそのおかげで、のんの二人が思いがけない選択をすることもあって、「そうか、こっちに行くんだね」と楽しみながら書かせてもらったところもあります。だからまあ、連載はだいぶ長くなってしまって、本にするときに削ったんですけど。

2023.04.07(金)