気兼ねなく旅ができる日常が戻るまでには、まだまだ時間がかかりそう。こんな状況だからこそ、先人の旅を知り、まだ見ぬ場所への想像を膨らませるのも贅沢です。
さまざまな旅をしてきた作家たちが厳選する旅の本をおともに、素敵なホテルで「おこもり読書」を満喫しませんか?
さまざまな地図を見ているだけで、旅した気分になれます。――恩田陸さん
◆『iichiko design「いいちこ」のポスターとデザインワークの世界』三和酒類(編)
OL時代、通勤途中で駅に貼られている「いいちこ」のポスターを見て、何度「このままどこかに行ってしまいたい」と思ったことか。最高に旅情をそそるポスター集。
◆『世界の駅』三浦幹夫・三浦一幹(写真)
旅といえばやはり駅でしょう。それぞれのお国柄の違いが楽しい写真集。
日本からは大社駅・嘉例川駅・門司港駅・東京駅が入っています。
◆『五足の靴』五人づれ
明治時代、雑誌『明星』のもとに集まった北原白秋、木下杢太郎ら若き詩人がつづった紀行文集。
今読んでもとてもみずみずしく、短編小説のような味わい。
◆『「五足の靴」をゆく 明治の修学旅行』森まゆみ
そして、『五足の靴』の詩人たちの旅路を追い、それがどのように彼らの作品に花開いたかを考察したこの本は、「旅」がクリエイターに与える影響が垣間見えて興味深い。
◆『世界の地図を旅しよう』今尾恵介
古今東西の地図に精通する著者が語る地図の話は、まさに「目ウロコ」なトピックスが満載。
さまざまな地図を見ているだけで、旅した気分になれます。
恩田陸(おんだ・りく)
1964年、宮城県生まれ。早稲田大学卒。92年日本ファンタジーノベル大賞の最終候補となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年に『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞、06年に『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞(長編部門)、07年に『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、16年に『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、17年に同書で第14回本屋大賞を受賞。著書に『上と外』『ブラザー・サン シスター・ムーン』『七月に流れる花』『錆びた太陽』『祝祭と予感』『歩道橋シネマ』ほか多数。
文=CREA Traveller編集部