『このミステリーがすごい! 2023年版』で呉さんの『爆弾』は第1位、有栖川さんの『捜査線上の夕映え』は第3位にランクイン! ミステリーの面白さを更新し続けるかのように貪欲に走り続けるお二人は、いったい何を目指しているのか? 
 呉さんの「くやこのはな賞」受賞をきっかけに実現した初対談で、惚れ込んでいる互いの作品から、新作で挑戦したことやミステリー作家として心に決めていることまで、アツい議論が繰り広げられました。
 2022年12月22日に大阪倶楽部ホールで開催された公開対談の模様を出来る限り記録し、公開します。


◆有栖川作品でミステリーの面白さを知った

呉 まずは、なぜ今日、有栖川先生にお越しいただいたのか、その理由からお話しさせてください。それはひとえに、僕にとって唯一無二の方だからです。僕が小学生の頃、初めて読んだ大人向けのミステリーが有栖川先生の『月光ゲーム』でした。続けて『孤島パズル』を読み、以来、ミステリーが大好きになったんです。

有栖川 ちょっと、先生はやめましょうよ(笑)。

呉 そうおっしゃるだろうなと思ったんですが、最初だけお許しください。「何だこいつ ”有栖川さん” なんて生意気だ」と会場のみなさんに思われたくなくて予防線を張ってます(笑)。大阪の有栖川ファンは怖いんですよ。阪神ファンみたいなもので。

 それはともかく、それ以来僕は文芸に限らずドラマや映画、漫画と、様々なジャンルのミステリーを読み続け、見続けてきました。途中でいったん映画に興味が移るんですが、大学卒業後に再びミステリー小説にハマり、小説を書き始めました。その時に夢中で読んだのも、有栖川先生の著作でした。結局その後、江戸川乱歩賞を受賞しデビューするんですが、なんとその時選考委員をされていたのが有栖川先生だったんです。つまり僕は有栖川さんの一ファンなんです。今日は、基本的には私が有栖川さんを質問攻めにする会になるだろうと思います(笑)。

2023.05.05(金)