年末恒例の4大ミステリランキングすべてで、ベスト10入りしたのが有栖川有栖さんの『捜査線上の夕映え』だ。第26回日本ミステリー文学大賞も受賞された有栖川さんに、火村シリーズ30周年記念作品『捜査線上の夕映え』について話を聞いた。


『捜査線上の夕映え』(有栖川 有栖)
『捜査線上の夕映え』(有栖川 有栖)

「ちょっとお話があります」と呼び出されて。

――第26回日本ミステリー文学大賞のご受賞おめでとうございます。光文文化財団のHPによりますと、この賞は、「ミステリー文学の発展に著しく寄与した作家および評論家」を顕彰する賞、ということです。

「有難うございます。私が受賞するまではそうだったんでしょうね(笑)。実は私、同じ日、同じ場所で、『日本ミステリー文学大賞新人賞』の選考委員をしていたんですよ」

――そういった場合、どのようにご連絡がくるんでしょうか。

「前例がありましてね。第22回日本ミステリー文学大賞を、綾辻行人さんがご受賞されたときも、綾辻さんは新人賞の選考委員をされていたんです。このときは、選考中に、『綾辻さん、ちょっとお話があります』と廊下に呼ばれ、『受賞が決まりました』と伝えられたらしいです。綾辻さんは、『あれは驚いた』と仰っていました」

――それは驚きますね。

「私の場合は、新人賞の選考をしていまして、休憩時間となって、喫煙所で、一服しようとしましたら、編集者に『ちょっとお話があります』と話しかけられて、『新人賞の選考の進め方がよくないので、後半はこうしてください』と言われるのか、と思っていましたら、『今、受賞が決まりました』と言われまして。びっくりしました」

――新人賞の選考会場に戻った際に、みなさんからお祝いの言葉はありましたか?

「そのとき、喫煙所には、薬丸岳さんが、選考会場には、恩田陸さん、辻村深月さんらがいらっしゃって、皆さんから祝福の言葉をいただいて、なんだか照れ臭いような、嬉しいような……。めったにない経験で、とてもよい思い出になりました」

『捜査線上の夕映え』から始まった2022年!

2022.12.30(金)