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没後50余年を経て甦った童謡詩人 金子みすゞの足跡をたどる

 長門湯本温泉から車で15分ほどの距離にある海辺の漁師町、仙崎は、「みんなちがって みんないい」「こだまでしょうか」などのフレーズで知られる、童謡詩人・金子みすゞ(1903~1930年)の生まれ故郷。みすゞが3歳から20歳まで暮らした実家の跡地に、「金子みすゞ記念館」はあります。

 通りに面した「金子文英堂」が、その入口。こちらは、みすゞの実家が営んでいた書店を復元した建物で、1階は店舗、2階には、みすゞの部屋がリアルに再現され、大好きな読書や詩作にふける彼女の姿が目に浮かんでくるようです。

 「金子文英堂」に連なる本館の常設展示室には、みすゞの生涯と各時期にまつわる作品が、貴重な資料や写真とともに展示されています。

 大正末期に彗星のごとく現れるも、26歳で夭折し“幻の童謡詩人”となっていた金子みすゞ。その作品が発掘され甦ったのは、死後半世紀を経てからのことで、童謡詩人・矢崎節夫氏(現・金子みすゞ記念館館長)の熱意のたまものでした。みすゞが短い生涯で残した3冊の手帳に記された512篇の詩には、自然や生命に対する畏敬と弱者へのやさしい眼差しがあり、今を生きる私たちの心にも温かく響きます。

 館内には、直筆の原稿(複製)を見学できるギャラリーや、全512篇を検索・鑑賞できる検索室などがあり、時間を忘れてみすゞの詩の世界に没入できます。また、記念館に面した「みすゞ通り」には、みすゞのモザイク画や、いくつもの詩碑、みすゞの墓所がある遍照寺などが点在。古い漁師町の風情も相まって、ノスタルジックな散策が楽しめます。

金子みすゞ記念館

所在地 山口県長門市仙崎1308
電話番号 0837-26-5155
入館料 一般 350円、小中学生 150円
開館時間 9:00~17:00(最終入館 16:30)
休館日 年末年始(2023年2月1日[水]~22日[水]は臨時休館)
https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/site/misuzu/

2023.01.14(土)
文=伊藤由起
撮影=榎本麻美