ボーリングに夢のステージ

 さあ、リカちゃんミュージアムの奥へと進んで行こう。その時代に流行ったファッションを取り入れるリカちゃんだが、展示では思わず「流行ったなあ~」と声を出してしまう数々のセットや舞台も用意されている。

 まずはこちらの1970年に発売された「リカちゃん、夢のボーリング場」! すごいよ、リカちゃん、マイボーリング場なんて! これは実際にボールを投げて遊ぶことができる優れもの。友達のいづみちゃんは普段から投げ込んでいるのか、めっちゃピン倒してる!

 続いては、昭和生まれには懐かしい音楽番組を思い出す舞台セット(展示用で一般発売はされていない)。

 舞台中央にいる「リカちゃんトリオ」は、メンバーが時代ごとに入れ替わっている。初代リカちゃん、いづみちゃん、わたる君の3人がグループサウンズ風の衣装で登場したのをはじまりに、アマチュアバンド全盛の90年代にはリカちゃんがバンドを組んだりしている。

 ステージ中央では三代目リカちゃんとさやかちゃん、中央にいるのは2代目ボーイフレンドのイサム君であろうか?

【懐かしの反転フラップ(パタパタ)式のランキング表示を見ると】人気順位1位は「ワインレッドの恋」を歌ったリカちゃんトリオ、3位にはリカちゃんがソロで歌った「リカちゃん音頭」がトップ10入り。どんな曲が聞いてみたくなる…と思ったら、

♪あんまん、肉まん、サラリーマン…

 と韻を踏んで歌うノリノリのレコードが実際に発売されていた模様。今度、カラオケで歌ってみたい(後日、カラオケで探したが……残念、見つからず!)。そのほか、年々、豪華になるリカちゃんハウスや夢のお仕事ハウスなど盛りだくさんだ。

 すべて見終えてお城を出てまず思った。ボウリングとカラオケ、行きたい。コロナですっかり巣ごもりモードであったが、リカちゃんのファミリーストーリーや各時代の懐かしい展示の数々に、幼いころの友人を思い出した。ああ、中年になった友人たちも誘えばよかった。きっと昔話で盛り上がっただろう。

 ちょっと遠いけれど大人こそぜひ足を運んでほしい。

リカちゃんキャッスル

所在地 福島県田村郡小野町小野新町中通51-3
営業時間 10:00~16:00(最終入館は15:30までとなります)
定休日 月曜日休館
アクセス JR磐越東線 小野新町駅 下車徒歩約10分
入館料 大人1,000円 2才~中学生800円
https://liccacastle.co.jp/
リカちゃん55周年記念サイト
https://licca.takaratomy.co.jp/55th/

旅メモ:車で行かれる方は、東に40分ほどの須賀川市まで足を伸ばしてみては? ウルトラマンの故郷「M78星雲 光の国」と姉妹都市提携している(!)同市では、街中にウルトラ兄弟や怪獣たちの楽しいモニュメントが。なぜか哀愁漂うピグモン像が私は特に好きです。屋内展示施設もあり。

白石あづさ

ライター&フォトグラファー。3年に渡る世界放浪後、旅行誌や週刊誌を中心に執筆。著書にノンフィクション「お天道様は見てる 尾畠春夫のことば」「佐々井秀嶺、インドに笑う」(共に文藝春秋)、世界一周旅行エッセイ「世界のへんな肉」(新潮文庫)など。「おとなの週末」(講談社BC)本誌にて「白石あづさの奇天烈ミュージアム」、WEB版にて「世界のへんな夜」を連載中。Twitter @Azusa_Shiraishi

Column

白石あづさのパラレル紀行

「どうして世間にはこんな不思議なものがあるのだろう?」日本全国、南極から北朝鮮まで世界100か国をぐるぐると回って、珍しいものを見てきたライターの白石あづささんが、旅先で出会ったニッチなスポットや妙な体験談をご紹介。

2022.12.11(日)
文・写真=白石あづさ