この記事の連載
彩瀬まるさん[作家]
Q1:最愛の一作
『アイシールド21』(稲垣理一郎 原作/村田雄介 作画 集英社)
自分には得意なことがあり、不得意なことがある。その上でどう生きていこうか、と初めて考えたマンガでした。読み直すたび、好きになるキャラクターが変わります。「アイシールド21」とは、色付きアイシールドで顔を隠した謎の選手のこと。周囲との関わりや厳しい戦いを経て、アメフト選手として、ひとりの人間としても成長していく姿を描いた青春スポーツストーリー。
Q2:マンガを読むスタイルは?
マンガアプリ、紙での購入、どちらもあります。でも紙のほうがしみじみと絵を味わえる気がして、どちらかといえば好きです。
Q3:夜ふかしマンガ大賞に推薦した作品とその理由
『あした死ぬには、』(雁須磨子/太田出版)
もう大人だし、大抵のことには動じない。そう思ってくたびれていた心がふつりと弾け、真新しい自分が芽吹いていく気持ちよさがたまらないです。生きていくのは大変だけど楽しいなと、本を閉じてからも嬉しさが続くマンガです。切実に生きる女性たちの「40代の壁」を描いたオムニバスシリーズ。10月14日発売の第4巻でついに完結。
Q4:各部門への推薦作品とその理由
●お仕事部門
『バイオレンスアクション』(沢田新 原作/浅井蓮次 作画 小学館)
バッタバッタと人が派手に死んでいくバトルマンガなんですが、それぞれの人生を強く握りしめている登場人物たちの存在感と、だからこそ生まれるズレや脱力感が好きです。油断するとほろりと泣かされます。累計発行部数70万部超え、オンラインアクセス数1,000万PV超えという、この夏映画化もされた超人気コミック。
彩瀬まる(あやせ・まる)
作家
1986年生まれ。2010年「花に眩む」で第9回「女による女のためのR-18文学賞」読者賞受賞。著書に『くちなし』(文藝春秋)『森があふれる』(河出書房新社)など。
彩瀬まるさん最新作
『新しい星』
大学時代の合気道部の仲間、男女4人のままならない人生を描く連作短編集。普通の幸せとは何か。それぞれの喪失と再生に寄りそう、静謐で力強い全8話。文藝春秋 1,650円。4年ぶりの長編『かんむり』(幻冬舎)が9月14日発売予定。
2022.12.10(土)
Text=Ritsuko Oshima(Giraffe)