この記事の連載

 「広島県」と聞いて、みなさんは何を思い浮かびますか? 原爆ドームや宮島といった定番の観光スポットに、牡蠣や穴子、瀬戸内レモンといった名産品の数々。

 しかし、広島の魅力や見どころはそれだけではありません! 2020年に就航した観光型高速クルーザーや、路面電車を貸し切って飲食が楽しめるプランなど、広島には新しい魅力が次々と誕生しています。

 さらに、広島県は2023年の「G7サミット」の開催地に決まり、注目を集めている場所でもあります。そこで今回は、広島の新たな名物になりそうなグルメや、まだまだ知らなかった歴史、絶景などをスポットごとに全6回に分けてご紹介します。

 さぁ、広島の「今」を探しに出発~!


「幻の和牛」比婆牛を食べるなら、広島へ

 広島のブランド和牛「比婆牛」をご存じでしょうか。聞いたことがないというのも無理はありません。比婆牛とは、広島県の北部庄原市で長く育てられたブランド牛のこと。厳しい認定基準を満たさなくていけないため、年間200頭程度しか出荷されないこともあり、首都圏で流通されることはほぼなく、「幻の和牛」とも言われています。

 そんな貴重な比婆牛を味わうことができるのが、広島市内の高級料理店「肉割烹まさ㐂(き)」です。

 こちらでは、比婆牛などの和牛や旬の食材を使ったお料理がいただけます。

 夜のおまかせコース(11,000円)では比婆牛と広島県の食材を使ったさまざまなメニューを味わうことができます。

 比婆牛はオレイン酸が多く含まれていて、とろけるような濃厚な旨味が特徴。人肌で溶けてしまうくらい融点が低く、脂肪の口どけの度合いを示すMUFA(一価不飽和脂肪酸)の数値は国内の和牛の中でも随一だと言われています。

 そんな比婆牛の口どけを最大限に感じてもらえるように、こちらのお店では冷製料理を中心に提供しています。

 まずは、比婆牛のマルシンを使った冷菜「比婆牛マルシンの菊花和え」。

 マルシンとは、モモの一部のことだそうで、柔らかな食感が特徴。そのお肉を炭火で軽くあぶり、すだちのしぼり汁と塩で味をつけ、菊の花などを和えた一品です。

 次は、比婆牛のヒレ肉を使った温かい椀物が。

 ヒレ肉の下にもち米を敷き、低温でじっくりと炊いた一品です。この日は栗の薄切りが入っていました(内容は時期によって変わります)。

 煮た穴子をサーロインで巻き、さらに広島菜で巻いた一品。お肉の脂がとろけます!

 広島菜とは地元でよく食べられているお漬物のこと。甘辛で濃厚な味わいに爽やかな広島菜の風味が交わることで口の中が幸せに……。

2022.11.12(土)
文=根津香菜子