前田公輝の中心にあるもの:「ドラゴンボール」と言霊と“許せない”という感情、そして気遣い
――続いて、3つめに選んだキーワードは「ドラゴンボール」でした。
こんなにいい大人なのに、いまだに「ドラゴンボール」が刺さり続けている自分です。語り尽くせないくらい魅力があるんですけど、「ドラゴンボール」は悟空とベジータという(敵関係にあった)ふたりがいて。ベジータはプライドの塊だったのに、今となっては家族思いで、家族のためならひと肌もふた肌も脱ぐようになったんです。あれだけ敵同士だった人たちがどんどん味方になっていくという、ああいう姿にすごいグッとくるんです。
あと、どうやっても絶対ハッピーエンドになるのが、すごく好きなところ。僕はディズニーも好きなんですけど、その理由も同じで絶対ハッピーエンドが約束されているから。考えさせられる作品ももちろんいいんですけど、自分がプライベートで観るのはハッピーエンドが約束されたものに尽きます。
――本当に「前田公輝を作るコト」主旨に沿ったセレクトですね。
「ドラゴンボール」は本当にそうですね。……実際、ちょっと恥ずかしいんですけど小学6年生までマジでカメハメ波が出せると思っていて。
――1回くらい出ました?
いや、それが出ないんですよ! 悟空が初めてカメハメ波を出すときにも車に当たっちゃっていたし、好条件が当てはまれば自分も出ると思ってあえて車の前でやっていました。「カメハメ波!」と言って、「あー今日も出なかったな……」と繰り返して(笑)。あと、いまだに悪天候になってきたりすると、「どこかで神龍出てそうだな」とかちょっと考えちゃうんですよね。……いい大人なのに!
――(笑)どんどん行きましょう、4枚目は「言霊」を選びました。
「言霊」は今、特に信じています。朝ドラ出演に関しても、「30歳で朝ドラに出て、世にどんどん出ていく」というようなことを大学時代友達に言っていたりしたんです。常に前向きな言葉を発することは大事だなと思っていますし、言葉の力、引き寄せの力はすごい信じています。後ろ向きな言葉は思っていても吐きたくないし、極力、控えるようにしています。
例えば、友達からマイナスなことを相談されても、変換してプラスな言葉を言うようにもしています。「考え方を変えて、こうやって捉えればいいじゃん!」と。そういう風に言っていたことは、やっぱり自分に返ってくるような気もするんですよね。
――有言実行の今ですよね。5つめに選んだのは何でしたか?
ちょっと抽象的ですが、「許せないこと」にしました。
僕、自分には何を言われても何をされても大丈夫なんです。でも人のことだと結構許せなくなったりしてしまう。友人のためなら怒れるし、例えば、カンパニーで僕が主役をやらせてもらっているときに皆が悩んでいたら、僕が主役として意見を言わせていただいたりもします。
――ご自身にふりかかることで、許せない気持ちになることはないんですか?
このキーワードを選んでおいて真逆のことを言うんですが、本当にないんです(笑)。許せないことがなさすぎて……。結局許せちゃうんですよ。学生時代、芸能をやっていることでクラスメイトと距離ができたり、陰口みたいなことを言われたりもしましたけど、「まあ、でも仕方ないよな」と思っていました。僕は自分の人生しか見えていませんけど、その人にはその人の人生が絶対あるし。許せていないと、いずれ自分が狭くなるとも思うんですよね。
――そして、最後は「気遣い」というキーワード。
「気遣い」は本当にずっと僕のテーマです。僕はもっと自分に気を遣えるようになりたいんです。人に気を遣うことばかりを意識しちゃっていると、嫌われることが怖くなってしまうので。もっと自分に集中して時間を費やしたいなとは、常日頃からのテーマにしています。……最後はさくっと終わらせてみました(笑)。
2022.09.22(木)
文=赤山恭子
撮影=深野未季
ヘアメイク=松田蓉子
スタイリスト=千葉 良(AVGVST)