鮒ずしの可能性を広げ、ここだけの味に育てていく
◆湖里庵(こりあん)
![2階の客室。遠藤周作の「ここから見る風景が北欧のフィヨルドに似ている」という発言にちなみ、家具はデンマーク家具の代表的デザイナーであるフィン・ユールのものを配している。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/f/1280wm/img_2fc546131d2d7ba421fc0e7c0621494187236.jpg)
「湖里庵」は作家・遠藤周作がこよなく愛した宿として知られ、約230年の歴史を持つ「鮒寿し 魚治」が母体の、料理旅館だ。
2018年の台風により建物は全壊してしまったが、湖面が窓一面に広がる和モダンな建築に生まれ変わり、2021年の4月に再スタートを切ることができた。
![からすみ餅から着想を得た“鮒寿し餅”。炙ることでより濃厚な味わいに変化し、餅とよく合う。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/f/1280wm/img_6f4096fa7158b7c1ae4150b5b95e01b9185596.jpg)
「鮒ずしは伝統食ではなく、味噌のようにどの家庭でも造られるような家庭料理だったんです」と、7代目当主・左嵜謙祐さんが教えてくれた。
![グルメ漫画『美味しんぼ』にて紹介された名物の茶漬け。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/5/1280wm/img_6553cf257991b560d9d03f403a06f1c4102633.jpg)
「伝統の枠に押し込めて、特別な日にしか食べない“昔のもの” のような存在にしたくない」という思いから、鮒ずしに新たなエッセンスを加え、現代風に再構築した料理を提供する。
![“鮒寿しのクリームパスタ”。コクと酸味のバランスがとれた一品。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/1/1280wm/img_419ce8b49d9c536f44f2164a0bb29b6a91061.jpg)
鮒ずしはチーズのような風味をもつことから考案したクリームパスタは、独特の酸味がクリームを軽やかにし、小麦との相性も抜群。加熱することで、親しみやすい味に変化していく。
![琵琶湖の宝石といわれるビワマスのお造り。皮の香ばしさが感じられるよう、塩たたきに。コースは約11品。14,300円(サ別)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/0/1280wm/img_106bd44e468b654aa0c7e118adf88434150201.jpg)
「鮒ずしが苦手な人こそ、うちの料理を食べてみてほしい」という当主の言葉を信じて、ぜひ足を運んでほしい。
![遠藤周作の字体を使った看板がかけられた外観。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/1280wm/img_cd16af35df5cc5ba4494c3c866cdbbed162980.jpg)
湖里庵(こりあん)
所在地 滋賀県高島市マキノ町海津2307
電話番号 0740-28-1010
料金 49,500円(1泊2食付き、2名利用、サ別)
※1日1組限定(最大6名)。
https://korian.jp/
2022.08.08(月)
Text=Michiko Watanabe
Photographs=Atsushi Hashimoto、Ichisei Hiramatsu
CREA Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。