鮒ずしの可能性を広げ、ここだけの味に育てていく

◆湖里庵(こりあん)

 「湖里庵」は作家・遠藤周作がこよなく愛した宿として知られ、約230年の歴史を持つ「鮒寿し 魚治」が母体の、料理旅館だ。

 2018年の台風により建物は全壊してしまったが、湖面が窓一面に広がる和モダンな建築に生まれ変わり、2021年の4月に再スタートを切ることができた。

 「鮒ずしは伝統食ではなく、味噌のようにどの家庭でも造られるような家庭料理だったんです」と、7代目当主・左嵜謙祐さんが教えてくれた。

 「伝統の枠に押し込めて、特別な日にしか食べない“昔のもの” のような存在にしたくない」という思いから、鮒ずしに新たなエッセンスを加え、現代風に再構築した料理を提供する。

 鮒ずしはチーズのような風味をもつことから考案したクリームパスタは、独特の酸味がクリームを軽やかにし、小麦との相性も抜群。加熱することで、親しみやすい味に変化していく。

 「鮒ずしが苦手な人こそ、うちの料理を食べてみてほしい」という当主の言葉を信じて、ぜひ足を運んでほしい。

湖里庵(こりあん)

所在地 滋賀県高島市マキノ町海津2307
電話番号 0740-28-1010
料金 49,500円(1泊2食付き、2名利用、サ別)
※1日1組限定(最大6名)。
https://korian.jp/

2022.08.08(月)
Text=Michiko Watanabe
Photographs=Atsushi Hashimoto、Ichisei Hiramatsu

CREA Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

日本のワインとご馳走に心躍る テロワールを訪ねて Terroir  Journey!

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